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ストレッチ業界の黒船来襲!
2015.10.26

ストレッチ業界の黒船来襲!

ストレッチ業界の黒船来襲! 針灸接骨院業界の常識を変える 今回は特別号ということで、(株)スリーエスグループジャパン兼子ただし氏に講習を行っていただきました。その内容は私たち柔道整復師・鍼灸師にとって、というより、柔道整復師・鍼灸師だからこそ「目からウロコ」の講習内容・・・

鍼灸接骨院業界の常識を変える

今回は特別号ということで、(株)スリーエスグループジャパン兼子ただし氏に講習を行っていただきました。その内容は私たち柔道整復師・鍼灸師にとって、というより、柔道整復師・鍼灸師だからこそ「目からウロコ」の講習内容でした。正直なところ、これから鍼灸接骨院の先生方にご案内するにあたって、その技術を施術の一部に取り入れられたらいいかな、患者さんの簡単な指導に使えたらといいかな、といったイメージを持っていたのです。兼子ただし氏のストレッチには、しっかりとした技術、明確な知識と理論、そしてそれらを伝える強い信念が詰まっていました。本特集では、その講習会の模様と、数十億を生み出した兼子ただし氏の信念、そしてストレッチ技術についてお伝えできればと思います。

■ストレッチが健康教育になる!?

兼子氏は実業家でありながら現役のプロキックボクサーでもあります。スポーツの中でも過酷な減量や格闘が含まれるキックボクシングを選んだその理由は、実は意外にもダイエットだったそうです。ちょっと太ってきたなと始め、趣味だったものが試合への挑戦へ、プロライセンスへの挑戦を経て、その後の勝敗を繰り返しながら20年間続けておられるとのこと。

「キックボクシングを通じて色々なことを知ることができましたよ。やってなかったら今の僕はないですね。」
20年間のキックボクシングの経験から生まれた身体づくりは、一般の方へも提供することができると、兼子氏は言います。
「キックボクシングを続ける中で、疲れない身体にするにはどうするんだろうと考えて色々行ってみたけど、疲れた身体を癒す目的のリラクゼーションばかりだった。そんな中、PNF(※1)に出会った。オリンピック選手も見ているような先生に習うことができ、実践してるうちに自分の身体が変わってきたんです。そして施術/治療・リラクゼーション・ストレッチ、この3つは同じ手技を用いていても目的が違うんだと気づいた。(痛みや病気に対する)治療・施術は対処法であり、リラクゼーションは癒しというサービス業です。そして僕が伝えたいストレッチは、疲れない身体、健康を維持するための教育なんです。」
確かに病院や鍼灸接骨院、リラクゼーションは多くありますが、健康を維持するためにやらなければならないことを教えてくれる施設というと見たことがないように思います。でも健康教育って具体的にはどういうことなのでしょうか。私たちも普段の姿勢の指導などは行っていますよね。これはじっくりとお話を聞く必要がありそうです。

※1 PNF:Proprioceptive Neuromuscular Facilitation、固有受容性感覚器神経筋促通法
1940年代にアメリカで誕生したリハビリテーションなどで用いられる促通手技のひとつ。

■リピート率96.6%!?

兼子氏経営のストレッチ専門店「SSS(スリーエス)」は現在9店舗。累計44万人、リピート率96.6%という数字を持っています。来られる方は「身体を柔らかくしたい」「慢性痛を治したい」「猫背を治したい」「体型を直したい(下半身太り)」といった方が多く、来店されるお客様の7~8割が女性だとか。男性は肩凝りや腰痛、ゴルフなどに影響の出る身体の固さを理由に来店されるそう。ここまで拡大された「SSS(スリーエス)」オープン時の経緯を伺ってみました。

「16年前は、整体という言葉を使ってましたが、スポーツマッサージ的なことをやっていた。でも“マッサージ”というのは後手で対処法ですから、身体を進化させるようなものではなかった。身体が柔らかくなるわけでもないし、股関節が開くようになるわけではない。そんな中、PNFに出会い、身体をケアしながら進化する事ができるんだと思ったんですね。この開かなかったものが開くようになるという進化法を、Jリーグとかオリンピックだとかのプロチームに入ってやるか、店舗展開していって一般健常者向けにやるかを迷っていた時期があった。どちらの方がより社会貢献度が高いかと考えたら一般健常者だなと思ってやりはじめたんです。絶対成功する自信があった。マッサージ・リラク・エステ・リフレクソロジーと色々ありましたけど、それらは結局のところ対処法であり、筋肉弛緩する方法でしかない。似ているけどジャンルとしては別のものだと。PNFの促通は動きが良くなる方法で、後手ではなく先手をうてる。しかも調子が悪くなる前に来るということは、必ずその人は毎週なり毎月なり来るようになる。やりはじめたら絶対成功すると思った。マッサージ(後手)メニューを持ちながら、先手のメニューを持ってきたんです。そういうところは接骨院と似ているかもしれないですね。でも、そしたら後手のメニューをやる人の方が多くなっちゃって。じゃあ中途半端に整体とかマッサージもやってても、とその店を閉め、場所を変えてストレッチ専門店を立ち上げたのが17年前です。」
私たち鍼灸接骨院でも痛みやだるさを訴えて来られる方への対処法を取っていますし、逆に普段の姿勢指導を行っている院もあります。これはもしかしたら、思っていた以上に私たちにとって重要な話になるかもしれません。

■43歳vs 20歳のキックボクシング!?
「20年キックボクシングをやってきた経験が僕にはある。ここを伸ばしたらこう動く、といった体験を元に、何でそうなったんだろうなと後から医学的な理論武装をする。ダイエット法などを教えている方は多くいますけど、僕ほど鍛えてる人にはまだ会ったことがない。トレーナーとかセラピストの中で、知識は僕よりある人はいっぱいいるでしょうけど、鍛えるということに関しては僕が一番経験値が高かったのかなと思ってる。」
43歳現役プロキックボクサーとして闘う対戦相手の年齢は20代。若い彼らと同じような練習、減量を兼子氏が続けられているのはコツコツと積み重ねてきた身体のメンテナンスでした。ボクサーに多い慢性ヘルニアや腰痛ヘルニアにはなったことがないのだそう。普段からケアに心がけているからこそでしょう。なるほど、この経験こそがプロアスリートではない一般の方に教えることができる秘密のようです。

■営業活動がなくても良い!?

兼子氏は健康教育を義務化する運動も行っておられます。小学校~大学に渡って全国の学校から姿勢教育のオファーを受けその講習が開かれています。しかもそのオファーは兼子氏が営業活動を積極的に行ったからというわけではなく、開いてほしい教えてほしいという要望が先生方から寄せられるのだとか。
「営業活動をしなくてもオファーがある、ということはそれだけニーズがあるということですよね。最近の教育現場では子供の集中力低下が問題になっています。60分間、座って集中することができない子供が増えているんです。ひどいところだと椅子に座らずに後ろのスペースで寝てるとか。落着けない、人の話を聞けない、キレる、コミュニケーションがとれない、そんな状態の中、今の先生たちは親が出てくるから昔のようには怒れないんですよ。先生たちも授業も進まないしどうにかしたいと思っても、『姿勢をよくしなさい』『背筋をのばしなさい』くらいしか言えないですよね。だって何で姿勢が悪いかわからないんだから。八方塞がりになっちゃってるんです。」
兼子氏は他にも

「逆上がりができない小学生が5割近くいる」

「運動能力が昭和の女子平均と現代の男女混合平均が同等になってきている」

と、社会的・国際的問題にもつながると指摘します。確かに、子どもの姿勢や集中力も本当の理由がわからなければ、ただただ子どもやその親自体の教育や性格の悪さだけが表沙汰にされてしまいそうですし、勉強に集中できないことで学力低下にもつながりそうです。
「子どもや親が悪いんじゃないんです。そういう教育が存在していないことが悪いんです。最近の子どもは腰椎が立っていないことで上半身に支持力がなくなっており、猫背であることが多く、頭蓋が前方にずれ、顎が上がり、胸椎から腰椎まで全てが丸まっているという状態になっています。そうすると胸郭が狭くなるため呼吸が浅くなり、結果的に集中力がなくなってしまうんです。」
こうして説明していただくと、態度が悪いというだけではないのだと改めて気づかされます。兼子氏の説明は非常に端的でわかりやすく、失礼ながら意外にも理論的で、かつ面白く話をしてくださいますので、講習中もついつい聴き入ってしまいました。

これだけのニーズが実際にあるということは、大きな宣伝をしなくても求められているということ。例えば、歯の矯正は歯科へ、姿勢の矯正は鍼灸接骨院で教育を、と職域がはっきりすれば今以上の認知にも繋がるのではないでしょうか。

「僕たちが教え続けて何とかしようという気はないんです。姿勢教育もできる人が定期的に教えていかないといけない。そうすると僕らは教育者にならないといけないということになる。最終的には学校の先生に教えるというところに行きついたんです。“起立・礼・着席”の中に礼の仕方-この関節から曲げるとか、ここを柔らかく、ということを理論的に教えられれば、学校の先生たちが教えられるようになるじゃないですか。だから僕たちは先生たちに教えるということに力を入れているんです。」

だいぶ見えてきましたね。同じことを鍼灸接骨院で行うことを視野に入れてみると、わくわくしてきました。

柔整師・鍼灸師×日本人に合わせたストレッチ

■日本人の身体にストレッチが合ってない!?
兼子ストレッチの特徴はPNFを基本としながら兼子氏独自に加えた理論、そして兼子氏が培ってきた20年のスポーツ選手としての経験にあります。中でも日本人に合わせたストレッチへと昇華させた兼子氏の目線は日本古来の技術をもととする私たち柔道整復師・鍼灸師にとっても是非取り入れたい考え方でした。

「ストレッチというものは西洋人が作ったものが多いんです。だから西洋人の身体に合わせてある。西洋の斧・鋸・スコップなどは全部押すでしょう。西洋人は押すための伸筋を得意とする民族なんです。それとは反対に、東洋人は屈筋が発達しやすい。鍬も鋤も鋸もぜんぶ引いて切ります。ぐっと丸まるための力は強いんですが猫背になりやすい原因にもなってる。逆に西洋人には猫背が少ない。僕たちが教えてるストレッチは、まずこの猫背になってしまう原因となる筋肉の固さを取っていくことから始めます。」
実は、この講習会の際に、前屈が固くてできないスタッフが3~4分で目でわかるほど柔らかくなったんです。その固くなっている筋肉というのを、最初はハムストリングや腰、腸腰筋ではないかとを想像したのですが、意外なところでした。しかし、この東洋人がぐっと丸まるような猫背の姿勢になると聞いた後では確かに、と納得。同じように背屈も教えていただきましたが、これも背中や腿ではない箇所に対してほんの数分、簡単なストレッチをしただけで効果が。

「兼子ストレッチは教育です。パーソナルストレッチという教育があり、商品という教材がある。鍼灸接骨院でもし活用するのであれば施術の延長線に置けばいい。患者その人ができるようになるかどうか、その設計図の完成形を決めて、(施術で対処してから)健康を維持する健康教育を推進していってほしい。」確かに、姿勢をテーマに掲げる鍼灸接骨院も増えてきましたが、教育だと聞くと患者さまへの応対や販売すべき商品もおのずと決まってきそうですね。

■しゃべり方をうまくなろうとしても無理!?

先生方の中には自費メニューや物販に取り組んでみても、なかなか患者さまにおすすめすることができないとお悩みの方もおおいのではないでしょうか。TV通販売上48億円、Sポール売上9億という実績をお持ちの兼子氏にその点についても伺ってみました。

「(講習の時に)柔整師の方から“どう伝えるかが重要だ”と聞いて印象的でした。みなさん技術は一流のものをお持ちなのに、そこにつまづいてるんだなと。僕なんかそれがメインですからね(笑)知識を活かすためのしゃべり方というのは、その人の思考にあると思うんですよ。知識だけ得たところで相手に響かなかったら、それは指導・教育になっていないってことですよね。それで相手がやってみる、買ってみるってならなければゼロと一緒。知識×思想×話法です。思想に人間性があってその人間性が話法に変わる。話法のうまさ・へたさと思いがちなんですけど、知識や思想の持ち方にある。人を喜ばせる、人にわかってもらうというような“相手が主役である”という人間関係性を知らない人は思想ができあがらないんですよ。要は相手にわかってもらうのがメインであって、自分がしゃべるのがメインではない。」これはがつんときましたね。確かにそうなんです。自信をもって相手のためになると思わなければ説得力は出てこないんです。

■ストレッチスクールに柔整師・鍼灸師が4割!?

今現在、SSSが目指す「姿勢教育義務化」実現に向けて、兼子氏が教える日本ストレッチトレーナー学院にて姿勢指導ができる人材を育成されています。資格者や経験者ではない一般の方の受講も多い講習とのことですが、鍼灸接骨院の先生も4割ほど来られているとのこと。自費メニューを作りたいという想いから受講されているそうです。

「今、健康教育というものが完全に欠落してるのは見えてる。義務化に向けてはまだまだですけど、協力してくれる人も増えてきて、我々の経験が増えている状態。さっきも言ったことですが(幸せの3段階)、今は“自分ができている”という段階ですね。先生たちに教えていくという実績が増えつつある。その延長に今回のこの(アトラとの)提携があって、柔道整復師・鍼灸師と繋がることができて、みなさんが協力してくださることで、みなさんの収入も上げられる、大きなことを考えることができるようになれば、大きな意味がありますよね。人にしてあげられる喜びに僕が至れるなと。140人生徒がいる中、柔道整復師も鍼灸師もエステも学校の先生とかいっぱいいる。そういう人たちに教えている時代が来てるってことは、僕たちが今まで8年間教えてきた足跡があったからだなと感じてます。」

やはりスクールに通う目的は自費メニューなんですね。鍼灸接骨院の先生方へ向けた熱いメッセージを最後に頂戴したいと思います。

■今の収入は思想の鑑!?

「鍼灸接骨院という業種は健康産業にいる。柔道整復師という資格・仕事であって、治療(医療分野の一端を担う)の側面と指導の側面を持ってる。そういう風に技術・能力のある方々だから、自分たちの持ってる力を、治療をする必要のある体にならないようにする職域として活用してほしい。国家資格という国家の力を借りているわけだから、国の発展のために使ってほしい。」

健康へと導くだけではない、病気にならない身体づくりを担う場所としての鍼灸接骨院の立ち位置があれば、職域が医師やリラクゼーションとかぶらない。事業としても成り立つ未来が見えますね。ただし、そうした未来を確立するには私的な理由で働いているうちはなしえないと兼子氏。

「同じ指導・治療・施術するにしても私的か公的かっていうのは非常に重要。ただ生活費を稼ぐためだけにやってたら生活費だけしか稼げない人に必ずなります。それ以上の収入を得たいのであれば平均収入以上の動機を持たないとだめ。僕は“姿勢教育の義務化”という動機を持ってずっと仕事をしている。本気なんです。そして今、水準以上の結果と実績がある。姿勢教育の義務化というのが今後、何十億にも化けるひとつの材料だと思ってます。この動機はこれまでやってきた僕の財産なんです。それを皆さんにも分けたい。ぜひこのストレッチを公的な分野で使っていただきたい。子供たちの未来をイメージして新しい日本の未来をイメージして柔道整復師としてこの地域にいるんだ!というくらいの動機を持ってもらうとかね。こういう動機がないまま色んな方法を模索しても成功しないです。“あなたは何故その仕事をしているんですか?”という問いに対して、心に浮かんだものに見合った収入が必ず入ってくるんです。」

この想いは経験したことでようやく感じることのできる気持ちなのかもしれません。ですが、信念をもって話す兼子氏から未来の姿が明確に見えてくる。これはぜひとも経営者の皆さんにも持ってほしい志の在り方だと感じました。また話し方というのはこの思想があってこそ初めてうまくなるとも。思想があって、院を紹介してもらえる、鍼灸接骨院で働きたいという人が出てくるといった良い方向も生み出す。軸を持って仕事をする、その材料のひとつとして“兼子ストレッチ”という教育法と教育教材を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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