サ高住の優遇措置と補助金制度の条件は?
国はサ高住の建築を積極的に推進していますが、建物をバリアフリーにして見守りサービスを付けたりと、設備基準に条件があるため建設費用が高額になるというデメリットがあります。しかし、サ高住の供給促進のために、さまざまな補助制度が受けられるようになっています。
サ高住の主な設備基準
サ高住に関しては、有料老人ホームのように国からの指針はありませんが、設備に条件があります。サ高住の運営を検討している方は、建設前・物件の購入前にしっかりと確認しておく必要があります。
サ高住の主な登録基準
・バリアフリーであること(段差の解消、手すり、廊下幅の確保など)
・居室の床面積は原則25㎡以上
※ただし、居間・食堂・台所などが、共同して利用するため十分な面積(25㎡以上)を有する場合は、居室は18㎡以上とすることが可能。
・居室には原則、台所、トイレ、収納、浴室を備えること
※共有部分に共同利用する収納設備・浴室があるのなら、居室内には不要(お手洗いと洗面所があれば可)。
・安否確認や生活相談サービスを提供すること
サ高住事業の補助金・税制優遇
サービス付き高齢者向け住宅は、上記のような居室ごとの規定やバリアフリー化など、一般的な賃貸物件より建築費用が高額になりやすいです。そのため、サ高住の供給促進・供給する事業者を支援するための補助金制度や税制優遇措置を受けることができます(要件あり)。
補助金制度
サ高住は国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進事業」の対象となっており、サ高住を新築すると、建築費の1/10(改修なら1/3)の補助金を受けることができます(一戸当たりの限度額あり)。
固定資産税に関する税制優遇
固定資産税は、「固定資産税評価額×1.4%」が土地・家屋それぞれに課されますが、サ高住の場合は「新築から5年間、家屋の税額を1/2以上5/6以下の範囲内において、市町村が条例で定める割合を軽減する」とされています(減額の参考値は2/3)。
不動産取得税に関する税制優遇
不動産取得税については、減額措置の適用範囲を拡する特例が受けられます。
・家屋について:1,200万円の控除。
・土地について:下記の①②のうち、いずれか多い方の額を控除。
①4万5,000円(=150万円×3%)
②土地1㎡の評価額× 1/2(特例負担調整措置)×家屋の床面積の2倍(限度200㎡)×3%
また、サ高住を介護事業者等に貸すことで貸家扱いにできます。相続財産の評価額が下がり、相続税の節税にもなります。
サ高住の建設融資
条件を満たせば、サ高住建設資金として、住宅金融機構の融資を受けることもできます。融資額は融資対象事業費の100%以内(10万円単位)であり、サ高住が「一般住宅型」か「施設共用型」かで取り扱いが異なるため、注意が必要です。
民間金融機関でも、サ高住専門商品が用意されていたり一般的なローンとして取り扱われていたりするので、融資を受けられる場合があります。
サ高住の収益構造・事業収支について
サービス付き高齢者向け住宅は、「賃貸住宅」であるため、一般の不動産賃貸事業の収益構造と同一といって良いでしょう。そのため、アパートやマンション等と同じく家賃収入が収益の大部分を占めます。
例えば、1部屋あたりの家賃を7万円として、総数20部屋の建物を1億5,000万円で建てたとします。表面利回りは7万円×20部屋×12ヶ月÷1億5,000万円=11.2%となります。
居室や介護サービスの質を上げることで少し高めの家賃設定にしてみたり、建築中の不要なコストをカットしたりすることで、より高い利回りを目指せます。
サ高住経営で成功するためのポイント
提携する介護事業者の実績を重視すること
サ高住では安否確認や生活相談サービスの設置が必須となっており、多くの場合は業者に委託することになるため、事業者の退去が最大のリスクとなります。安定経営のためにも実績があり、運営体制が整っていて、信頼できる介護事業者を選定しましょう。
併設施設の内容・状況も確認すること
サ高住は、介護施設も併設させることが多いため、併設施設の状況も確認しておきましょう。併設施設がクリニックやデイサービス等であれば、事業者は周辺住民の集客・収益を見込め、より安定した経営を行うことができます。併設施設の収益が高ければ、介護事業者の撤退リスクも減るため、併設施設の内容も含めて比較検討するようにしましょう。
厚生労働省は、要介護者・高齢者が今後増加していくことを踏まえ、在宅サービスの普及促進を図っています。高齢者が安心して生活できる環境が求められているため、在宅サービス(訪問介護、デイサービスなど)のサービス品質に対する評価が強化される傾向にあります。
今後の国の施策、その地域で求められる介護サービスを見極めることが重要となります。
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