1. HOME
  2. 記事
  3. 柔整師・鍼灸師の施術メソッド
  4. 関節可動域
関節可動域
2017.12.22

関節可動域

筋肉が動き骨を動かすことで、私たちの身体は運動したり姿勢を保ったりすることができます。その骨と骨の間にある組織が関節です。関節の役割は、動きの支点となり力を伝えること、そして力が伝わる角度と方向をコントロールすることの2点と考えられます。

ROMテスト

筋肉が動き骨を動かすことで、私たちの身体は運動したり姿勢を保ったりすることができます。その骨と骨の間にある組織が関節です。関節の役割は、動きの支点となり力を伝えること、そして力が伝わる角度と方向をコントロールすることの2点と考えられます。

リハビリの評価法であるROMテストは、体の各関節が生理的に運動することができる最大範囲を検査する評価法であり、関節の構築学的異常や軟部組織伸張性についての情報を得ることができます。ROMはRange Of Motionの頭文字であり、関節可動域と訳されます。

関節可動域が正常に保たれるためには、関節の構成体である骨・軟骨・関節包・靭帯に異常があってはなりません。さらに、骨運動が起こった際には、その運動の拮抗側に存在する筋・神経・皮膚等の軟部組織に十分な伸展性が必要となります。ROMは関節の可動範囲と捉えられますが、器官としての関節に神経や筋など、他の器官は含まれません。関節の機能が、動かされるという他動的機能であることから、これらを制限する原因として、関節を取り巻くこれら関節包外器官の伸展性の喪失も含んで明確にするべきです。

関節可動域が実用的に機能するためには動く範囲(量としての関節可動域)も重要ですが、潤滑機構(質としての関節可動域)も重要です。関節は、関節包に覆われており、さらにこの関節包の中は関節の動きをなめらかにする滑液で満たされています。この潤滑機構が正常に働かないと、滑液が不足し、サビついて固まったような状態になります。関節可動域が実用的に機能するためには、量としての関節可動域と、この質としての関節可動域が揃う必要があり、これらが失われた時には関節可動域制限(ROM制限)として現れます。量として余裕のある関節可動域を確保し、質として摩擦抵抗の軽減による運動の効率化を図ることがROM制限の改善の条件と言えます。

関節拘縮・関節可動域の変化

ところで我々、柔道整復師は関節拘縮という言葉をよく耳にしているかもしれません。拘縮は、関節周囲軟部組織の器質的変化に由来したROM制限と定義され、ROM制限の一つであると言えます。骨折などの外傷や神経損傷によって関節が固定されたり、何らかの原因によって関節運動が制限されたりすることにより、皮膚や皮下組織、骨格筋、腱、靭帯、関節包などの関節周囲に存在する軟部組織は不動状態に曝されます。関節及びその周囲の軟部組織の不動は、関節拘縮の一つの要因として考えられています。
関節可動域の変化は日常生活の中での動きに制限を生じさせます。例えば、股関節の凸面の関節可動域が5度減少した場合を考えてみましょう。股関節は半径約2センチメートル~3センチメートルの球体をなしていることから、関節が半径2センチメートルであり、下肢の長さが80センチメートルであると仮定します。この場合、関節面の移動距離は約1.74ミリメートル(4センチメートル×3.14/72)制限されますが、1歩の歩幅は約6.97センチメートル(160センチメートル×3.14/72)制限されることになります。
このように関節面の移動距離がわずかな変化でも、身体の動きとして捉えると、大きな影響を及ぼすと考えられます。こうした関節の動く幅(量としての関節可動域)は関節可動域の改善でしばしば注目されますが、合わせて関節を潤滑機構として捉え、関節内摩擦抵抗の軽減による運動の効率化にも、より目を向けていくことが重要と言えます。また、これらは骨盤の歪みの判定に用いられている下肢長差判定、及び足関節の骨折や捻挫後の関節可動域の障害をできるだけ起こさない整復、固定、後療法を進める上での重要なポイントであると考えます。
(参考)
「関節可動域表示ならびに測定法」日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会(1995年),日本整形外科学会雑誌69,240-250,1995.

執筆者
石垣 雅則Ishigaki Masanori
・過去50院以上の接骨院を運営およびコンサルティング経験あり ・多くの院長、接骨院チェーンのSVへの研修を行ってきた実績を持つ ・圧倒的な身体に関する知識を有する 柔道整復師
よりよい施術を探し続ける探究者

現在も現場で多くの患者に触れており、改善を繰り返しながら新しい施術法を開発する。 柔道整復術だけではなく鍼灸、整体、カイロ、機材、テーピング、指圧、トムソン、腰痛など種類問わず身体に関する理論・技術を貪欲に追い求め、自身の技術に組み合わせ続けてきた。 院長業務を兼任しながら、HONEY-STYLEの自費メニュー開発、ほねつぎブランドの技術研修総合指導を務める。 現在はアトラ株式会社において、全ての技術指導、技術開発を務め、ほねつぎブランドにおいての指導強化にあたっている。 ほねつぎチェーン 技術総責任者。

アトラアカデミーチャンネル
【提供しているチャンネル】

アトラアカデミーチャンネル