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第3回 未払い残業を発生させない 給与支給ルール
2017.06.23

第3回 未払い残業を発生させない 給与支給ルール

第3回のテーマは『未払い残業を発生させない給与支給ルール』です。昨今、ニュースで取り上げられている「未払い残業代請求」ですが、接骨院でも発生しており、他人事ではありません。「まさかウチが!?」とならないような事前の対策が必須です。

未払い残業を発生させない給与支給ルール

『成長する接骨院(整骨院)・鍼灸院のための人事・労務ルール作り』は、社会保険労務士で株式会社はた楽の代表取締役の佐藤東様に、人事・労務作りを整えていくポイントを全6回に分けて解説いただきます。

第3回のテーマは『未払い残業を発生させない給与支給ルール』です。昨今、ニュースで取り上げられている「未払い残業代請求」ですが、接骨院でも発生しており、他人事ではありません。「まさかウチが!?」とならないような事前の対策が必須です。

第3回 未払い残業を発生させない給与支給ルール

労働者が未払いの残業代を請求する場合は、過去2年分に遡って請求できることが法律上認められています。労働時間が比較的長くない接骨院であっても、2年間(24か月間)の累計となると1 人当たり約100万円の残業代となることも珍しくありません。「もしもこの金額を払っていないとみなされれば…」「しかも1人でなく、5人のスタッフが一斉に言ってきたら…」と考えると、差し迫ったリスクとなってきます。

【事例】こんなときどうする!?スタッフが残業代を請求してきた

勤務柔道整復師の小山君が、「院長、3月の残業時間は30時間でしたが、残業代が支給されていません」と言ってきた。
それに対して院長は、「うちはずっと残業代込みで支払っているから…」と苦しい言い訳を返したが、果たしてそれでいいのだろうか。

ここで確認しておきたいのは、小山君の労働状況です。


【小山君の3月の労働状況】
月次給与

 200,000円

月間労働時間

 221時間

平均所定月間労働時間

 365日/7日×44時間÷12か月=191時間

時間外労働時間

 221時間-191時間=30時間



【未払い時間外労働手当額】
時間外労働手当額

 200,000円/191時間×1.25×30時間=39,267円





【必須対策】みなし残業代込みの基本給設定

小山君の事例では、「基本給をベースに残業代を計算し、そのまま基本給にプラス」されますので、残業代を含めた月次の支給額は高くなります。基本的な対策としては、「基本給の一部に残業代を含める」という給与方式をとることです。いわゆる「みなし残業制度」(注1)の導入です。

(例)
基本給20万円(時間外労働30時間分を含む)


●実際の1か月の時間外労働が30時間以内の場合

▼基本給20万円を支給

【支給額】20万円


●実際の1か月の時間外労働が40時間で、30時間を10時間越える場合

▼超えた分の時間外手当を支給

【支給額】20万円+10時間分




これらのルールは、個々の雇用契約書や就業規則(賃金規程)に明記しておく必要があります。

ただし、ここで1点注意事項があります。際限なく、みなし残業代を基本給に組み込めるわけではありません。みなし残業代を除いた基本給が、いわゆる最低賃金時給を下回らないように設定する必要があります。

(⇒「1日で作れる人事・労務システムパッケージ」内のみなし残業代設定シミュレーションフォーム参照)

【+αワンポイント】昇給ルールも設け、長期勤務の意味づけをする

残業代をコントロールする一方で、優秀なスタッフの定着を促すには、毎年の「昇給」を実施し、継続勤務する意味合いを提示しておきましょう。多くの接骨院では、業績に連動する歩合給を設けており、定期昇給よりも業績連動で報いようとする傾向が強いですが、開院後2年、3年経っても基本給が昇給しないのでは将来の生活展望を持ちにくく、転職や独立のきっかけにもなります。

しかるべき人がしかるべき昇給を得られるルールを整備し、周知することで、納得して定着できる風土を醸成しましょう。的確な評価を行うためには、評価シートや評価ルールを整備する必要がありますが、これについては次回のテーマとして取り上げることとします。




第3回『未払い残業を発生させない給与支給ルール』はいかがだったでしょうか。オーナーにとってはどう決めればいいのか、頭を痛めるテーマであり、一方でスタッフにとっても給与が公平・公正に支払われているのか、関心が高いテーマがこの給与支給ルールでしょう。

安定成長を目指す鍼灸接骨院にとって不可欠な人事・労務ルールは、会社のルールブックである『就業規則』とその関連書式により整えます。本連載では、引き続きそのポイントを解説していきます。

(注1)みなし残業制度とは

あらかじめ月給に固定で一定時間分の残業代を含めておき、その時間内であれば残業時間を計算せずに固定分の残業代を支払うという制度。



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筆者:株式会社はた楽 代表取締役 佐藤 東

著書に「成果主義人事・賃金システム」(中央経済社)、「やる気を起こさせる!目標設定と面談の技術」(アイ・イーシ^)。最近の寄稿に「育成できる評価者&自律する被評価者の作り方」「社内起業家人材の育成法」(ともに月刊人事マネジメント)などがある。

「会社と社員の成長に不可欠な評価制度の作り方【佐藤東】」「デフレ時代に対応する報酬制度の作り方【佐藤東】」などで制度導入のノウハウをDVD解説も行っている。

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