情報紙HONETSUGI ACADEMY

接骨院業界のトレンド特集 海外進出
2018.09.21

接骨院業界のトレンド特集 海外進出

亜急性の文言撤廃など、療養費の取り扱いに関する様々な改定や広告ガイドライン策定に関する法整備が刻々と進み、接骨院業界を取り巻く環境は激変しています。約45,000件に上る接骨院が乱立する中、将来に不安をお持ちの方も多いことと思います。今回は、今後を考えるひとつの指針として、接骨院で海外進出を果たした経営者の方をご紹介いたします。

接骨院海外展開への挑戦

株式会社按幸堂 代表取締役であり、柔道整復師、鍼灸師の資格を持つ徳見 崇氏。病院での経営幹部としての経験を経て、日本国内で10院の接骨院・整体院を経営する他、介護事業(デイサービス)も手掛けておられます。2018年7月、タイ・バンコクへの接骨院出店を果たし、現在はHONETSUGI THAILAND.CO.,LTDのオーナーもされています。そんな徳見氏に、海外出店に踏み切った経緯と今の思いについてお話を伺いました。

日本の伝統技術を世界へとつなぐ先駆けに

通っていた鍼灸大学のそばに空港があり、学校からの帰宅時はその近くによく寄り道をしていました。飛行機の離発着を何度も目にするうちに、「いつかあの飛行機に乗って海外に行きたい」と思うようになりました。日本の古典的な鍼灸技術を学ぶ中、いつしか「和鍼という日本独自のソフトな技術を、海外の方にもぜひ受けてもらいたい」という思いが芽生えました。鍼灸師としてデビューした頃には、すでに海外で仕事をすることに関心を抱いていました。また、私が生まれた場所が過疎地だったこともあり、日本や海外に限らず、過疎地で医療を活かすことができればとずっと思っていました。

経営者になると、“従業員を守る”という責務が発生します。日本経済の景気がいつまで続くかわからないというのは以前から感じていたので、海外に拠点があり、外貨を稼げるということは強みになるのではないかと思いました。採用においても、海外展開しているという点は企業のブランディングになると感じます。“海外で働く”という選択肢が提示でき、オリジナリティが確立できると思ったのです。

海外での出店を本格的に意識し始めたのは、あるスタッフからの「海外に行きたい」という一言がきっかけでした。海外で日本の伝統的な施術を提供することに可能性を感じていたので、この意見に即同意しました。そのスタッフに、「うちで海外を目指すか、それとも退職して他の会社で目指したいか」と尋ねたところ、うちでやりたいと言ってくれたのです。

その後、そのスタッフとアジア諸国を視察し、タイのシラチャにクリニックをオープンさせました。現地を見回りその目で調べるというのは、日本においても本当に大切なことです。海外へ行くことに対し、他のスタッフは抵抗を感じるかなと思ったのですが、意外なほどみんな意欲的でした。「会社がお金を出してくれて海外で働けるなんて、そんな良いことはない!」と。そして、“海外で働く”という選択肢ができたことで、このまま今の接骨院で働くか、独立開業するのかという、彼らの将来の捉え方も変わったのではないかと思います。

日本と海外では、習慣も法律も異なります。日本では良くても海外ではダメということもあり、人の価値観や感覚も異なっていますので十分な調査が必要です。

もしタイに来られることがあれば、一度当院の横にある病院を見ていただきたいです。タイ国最大級の病院なのですが、内装はホテルのようで、いわゆる"待合室"ではなくラウンジになっていたり、ホスピタリティが格段に違います。“お客様をお迎えする”という意識を大事にしているのです。今までの常識が覆された瞬間でした。この意識は、国内院のリニューアルの際に参考にしています。これから海外展開を視野に入れている方は、若いうちに経験していることで将来のビジョンが見え、世界観が変わると思います。

海外の接骨院が増えれば学生たちの夢も広がる

人材における海外展開について、山中啓視氏と対談いただきました。

山中:「20代位だと、仕事で海外に行くということにステータスを感じてくれる方が多いですね。」
徳見:「そうですね。次はハワイでの展開を進めているのですが、『ハワイだったらすぐ行きます』と盛り上がってくれています。」
山中:「柔整師・鍼灸師も世界でチャレンジするというのは、本当に意義があることですね。」
徳見:「タイのフットボールチームに行った日本人トレーナーの方がいるのですが、チーム内で『すごくよく見てくれる』と評判だったそうです。」
山中:「イベントなどで海外の方とお話する機会があると、すごく褒めてくれるんです。逆に日本人はあんまり褒めてくれないんです…。お国柄もあるのでしょうが、日本人自体が高い技術に慣れてしまっているだけなのかもしれないと思いました。資格者が海外の方ともっと触れ合う機会があれば、良い刺激になりそうです。」
徳見:「私もイベントで海外の選手と触れ合う機会があったのですが、『ドイツでやったらきっと流行るよ』と言われたことがあります。今度、国内の院に現地のスタッフさんを呼ぼうと思っています。」
山中:「それはいいですね。今は、学校を卒業したあと海外で働く施術者はほとんどいないと思います。むしろ接骨院業界はもう厳しい…という印象を持っている人が多いのではないでしょうか。」
徳見:「そうですね、夢がないですよね。」
山中:「徳見社長のようなパイオニアがどんどん出てきてくれるとうれしいです。」
徳見:「柔道整復師や鍼灸師は、もっとグローバルにチャレンジできる職種だと思っています。なんせ“手”があればどこでもできますので。」
山中:「そこに働ける場所があるのであれば、施術者になりたいという人材がもっと殺到するイメージしかないです。」
徳見:「本当にその通りですね。」

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