第18回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会
第18回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会が、平成30年1月31日(水)16時00分から全国都市会館で開催されました。
【議題】
〇あはき療養費の不正対策(案)
厚生労働省より、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の不正対策についてのこれまでの議論から用意した不正対策案が提案され、議論が交わされました。
〇あはき療養費の不正対策(案)
1.患者本人による請求内容の確認
架空・水増し請求を防ぐため、請求内容を患者又は家族が確認することを徹底する。
(1)患者から一部負担金の支払いを受けるときの対応として、正当な理由がない限り、領収証を無償で交付するとともに、患者から求められたときは、一部負担金の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を交付する。
(2)月末等の対応
施術者は、毎月、支給申請書を患者又は家族に見せ、支給申請書に署名又は押印を求める。
2.医師の同意・再同意
あん摩マッサージ指圧の施術に係る療養費は、筋麻痺・関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例について支給対象とされている。
はり・きゅうの施術に係る療養費は、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症の6疾病、および6疾病以外の慢性疾病が支給対象である。
支給対象に当たるかどうかについては、留意事項通知当で示されているが、留意事項通知当に基づき、これらの支給対象に当たるかどうかを保険者が判断するため、医師の同意・再同意は重要。
地域における医師やあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が連携を図っていくことが重要。
(1)医師の同意書の様式
山形県後期高齢者医療広域連合の様式、宮崎県後期高齢者医療広域連合の様式を参考に作成。初めての診療かの区分について、チェック欄を設けるべきか。
(2)同意を行う医師
同意・再同意を求める医師は、緊急その他やむを得ない場合を除き、当該疾病について現に診察を受けている主治の医師とする。
無診察同意がないように徹底する。
同意書の様式には「保険医が、当該疾病について診察の上で同意する必要があります。保険医氏名は、診察した医師の氏名を記載してください。」旨を追記する。
(3)施術者による施術報告書の作成
医師の再同意に当たっては、医師が、施術者が作成する文書により、施術の内容や患者の状態等について確認するとともに、医師の直近の診察に基づいて再同意する仕組みとする。
再同意については、2つの案を提示する。
案1)これまでどおり、再同意は口答で行うことを可とし、先の同意書の同意内容に変更がある場合には、再同意について文書で行うこととする。
案2)再同意については、文書で行うこととする。(再同意について文書で行う場合は、施術報告書の作成を義務化までするかどうかについても、検討する。)
再同意の期間について、2つの案を提示する。
案1)これまでどおり、3か月ごととする。
案2)これまでと比べ、施術報告書を書くという作業が増えること、また、上記案2のとおり再同意を文書で行うこととした場合負担が生じることとなることを踏まえ、6か月ごととする。
3.長期・頻回の施術等
(1)1年以上かつ月16回以上の施術の支給申請書の見直し・調査の実施
(2)調査結果の収集・分析
施術による患者の状態の変化を把握するため、施術継続理由・状態記入所を収集・分析することとする。結果について分析し、長期頻回にあたるものは、施術の必要性について保険者が確認する必要がある場合、償還払いに戻せる仕組みを検討する。
4.往療
あん摩マッサージ指圧に係る療養費では、往療料を算定する患者の割合は約90%となっており、療養費全体に占める往療料の割合も60%を超えている。はり、きゅうに係る療養費では、往療料を算定する患者の割合は約20%、療養費全体に占める往療料の割合は約30%となっており、近年増加している。
往療料の割合や、距離加算の状況を都道府県別にみてみると、大都市圏の状況と地方の状況に、大きな違いはない。
これらを踏まえ、往療料の不正対策に取り組むととみに、往療料の見直しを行う。
(1)支給申請書等の書類の見直し
(2)往療料の見直し
案1)30年改定において、距離加算を引き下げ、施術料や往療料に振り替えていくことについて検討し、さらに、その実施状況をみながら、往療料のあり方について検討することとする。
案2)現在の交通事情や、他の訪問で行うものの報酬を踏まえれば、距離加算は、廃止する方向で改定を行うこととする。ただし、激変緩和のため、まずは30年改定において、距離加算を引き下げ、施術料や往療料に振り替えていくこととし、状況をみながら段階的に改定を行う。
5.療養費の審査体制
(1)審査会の設置
(2)審査基準の明確化
(3)請求の電子化、審査のシステム化、保険者を超えた審査など、効率的・効果的な審査体制
6.そのほか
(1)支給申請書の様式の統一
(2)施術録の整備義務等
(3)療養費についての患者への説明義務
(4)不適正な広告の是正
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