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痛みとの飽くなき戦い
2010.09.24

痛みとの飽くなき戦い

ある著名な落語家の師匠を招いて、鎮静剤が手放せない重症のリウマチ患者方へ落語を一時間聞いてもらい、落語を聞く前と聞いた後で痛みの変化を調べたそうです。通常、痛みの変化を見ることは非常に難しい事であるのですが、この実験の場合血液中の・・・

トリガーポイント


ある著名な落語家の師匠を招いて、鎮静剤が手放せない重症のリウマチ患者方へ落語を一時間聞いてもらい、落語を聞く前と聞いた後で痛みの変化を調べたそうです。通常、痛みの変化を見ることは非常に難しい事であるのですが、この実験の場合血液中の炎症の悪化物質であるインターロイキン6やストレスホルモンのコルチゾールの変化を調べた所、その実験の結果は、わずか1時間笑っただけで健常な方も含めた全員の痛みの変化が表れました。その後も3週間にわたり、鎮痛剤が必要でなくなった人も出てきた程の、劇的な効果があったそうです。


また、インターロイキン6を下げる方法として、全身麻酔を関節リウマチの患者さんに施すと、麻酔がきれた後もインターロイキン6、コルチゾール、ノルアドレナリンの値が激減し、痛みも劇的に軽減したとの事例もあります。
では、落語を聞く前や、全身麻酔をする前にあれほど痛みを発生させていた患部の痛みは一体どこに行ってしまったのでしょうか?
腰痛の統計によると、我々が日常一般にみている腰痛のうち、原因が解明されているのは、実は15%位と言われています。残りの85%は原因が解らないものであるというのです。この数字は驚くべき数字であると私は思います。
ある研究では、米国内の腰痛による欠勤日数は年間、ほぼ1億5千万日にもなっているとの事。これを賃金計算すると、1年で約140億ドルにもなるそうです。日本も自覚症状の第一位が腰痛で1000万人以上の患者がおり、この数は近年飛躍的に増大してるのは皆さんも周知の事ですね。

また、皆さんはこんな事も経験しているのではないでしょうか?
同じ位の年齢で、同じような症状の方がお二人来院されています。その方達の症状は、足が痺れてきて長時間の歩行が出来ないという間歇性跛行。鍼灸院・接骨院(整骨院)でよく見られる症状ですね。
その内の一人の方は、色々な検査を病院でされていて「脊柱管狭窄症」という診断名が。もう一方もほぼ、同じような症状なのですが、病院等で検査をされた事がなく、診断名がついていません。両名とも同じ様な施術をしていくのですが、後者はぐんぐん良くなるのに比べ、前者はなんと改善が見られません。


「やっぱり手術せなあかんのかな」「歩けなくなるんかなぁ~」「病院の先生に手術を勧められたんよ」と、どうやら不安でいっぱいの様子。もちろん、同じような症状でも回復の度合はいろいろあるのも当然ですが、どうやらそれだけではないようです。
つまり、病院での診断名つまり「脊柱管狭窄症」という診断名が症状を悪化させている。すなわち脳が症状を出しているのではないでしょうか?私の知っている限りある年齢を重ねると大半の人が脊柱管は狭窄しているようで症状や痛みを出しているのは狭窄している脊柱管だけではない様です。
筋肉や神経などに異常が起こると、神経から脳に異常があるところが痛いと判断します。それが慢性的であったり強い異常が起こり続けると神経が痛みの信号を送り続けます。すると異常興奮状態がおさまらなくなり脳が混乱状態になり痛みの信号が来た場所を勘違いするようになります。このような勘違いは皆さんも経験があることなんですが、カキ氷やアイスクリームを食べていると頭が痛くなる「アイスクリーム頭痛」という現象です。
喉の奥に冷たい刺激を与えるとこめかみに痛みを生ずるのは、「関連痛」というメカニズムにより説明さています。冷たさのレセプターと痛みのレセプターは別で、それぞれの感覚は異なったレセプターからの神経線維を経て脳に信号が伝えられています。ただ、人の痛みと冷たさ(温度)の感覚は同じ神経線維で伝わっています。また喉からの感覚とこめかみからの感覚はいづれも、脳幹の三叉神経核という場所で同じように神経を乗り継いで脳に伝達される。通常は、異なった種類の感覚と異なった出現部位はそれぞれ識別されて脳に伝わっていくが、強い刺激が急に加わったときには感覚信号の伝達に混線が起こる。強い冷たさで喉の奥全体が刺激されると、冷たさを痛みとして感ずる。さらに刺激が脳に伝わる途中でこめかみや頭からきている神経や耳からくる神経と混線し、のどの冷たさがこめかみや耳からの痛みと錯覚される。

ぎっくり腰などの強い痛みなども、腰の関節や筋肉の痛みを脳に伝達する際に間違って内臓の痛みとして脳に伝播されるので焦燥感を伴うということであるらしいです。同じようにこれも脳の勘違いや神経の伝達ミスですよね。内臓が非常に痛むということは命に関わることですので通常の腰痛より一大事であると脳が感じているのです。また内臓の痛みを体の他の部位の痛みとして感ずる現象は関連痛あるいは放散痛と呼ばれ、胆のうの痛みが右肩の痛みとして感じられることなどが良く知られていますよね。頭部の血管の痛み、筋肉の痛み、皮膚の痛みはいずれをも三叉神経により脳に伝えられるため、痛みが伝わる途中の三叉神経核(中継所)で混線が起きているのがアイスクリーム頭痛の正体と言うことです。
このように痛みと言うものは非常にあいまいなものであることが皆さんも解かってきたのではないでしょうか?皆さんもその痛みの施術にあたる場合、慢性の痛みに定着させない為に早急に痛みを除去すること。再発を防ぐ為に原因をしっかりと見極めアプローチしていく(これにはトリガーポイントの考え方などが非常に有効であると思います)一番大切なことは痛みを感じているのは脳であること、人を扱っていることを忘れないということであります。やさしい一言であったり、扱い方、対応一番の施術であり痛みのコントロールにつながることを肝に銘じていただきたいと思うのであります。どんな症状も一発でといわれる「ゴッドハンド」といわれる方も実は人間のコントロールが上手であるのかもしれませんね。


インターロイキン6
免疫細胞に作用する物質は、今ではたくさん発見されています。その中でインターロイキン6が、自己免疫疾患の一つである難病「関節リウマチ」の発症に関係していることが発見され、インターロイキン6受容体に対する抗体が、関節リウマチに効果があることが判明している。


(H22.7月)

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