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脳を覆う脳脊髄液と頭蓋
2019.08.13

脳を覆う脳脊髄液と頭蓋

ヒトの思考や行動、生命維持など、すべての司令塔である脳。脳は脊髄と同じく、胎生の早い時期に外胚葉から分化した神経管に由来しています。神経管の内腔は中枢神経系が完成した後も腔所として残り、脳では脳室、脊髄では中心管となり、その内腔を脳脊髄液が満たしています。 <目次>◆脳脊髄液の流れ ◆髄膜 ◆脳脊髄液に早くから注目していた人々

脳脊髄液の流れ

脳脊髄液の役割は明らかではありませんが、主に脳の水分含有量を調節し、形を保つ役割をしていると考えられています。脳脊髄液は、脳室内にある特殊血管(脈絡叢)で1日に約500ミリリットルが産生され、脳室を側脳室→モンロー孔→第3脳室→中脳水道→第4脳室→中心管の順に流れ、硬膜静脈洞へ吸収されると考えられています。

産生~循環~吸収が繰り返されている脳脊髄液ですが、循環・吸収経路でその流れが悪くなると、頭蓋内に脳脊髄液が溜まり、脳室が拡大し、歩行障害、精神活動の低下、排尿障害等の症状を発症します。これを「正常圧水頭症(iNPH)」と呼びます。正常圧水頭症は、その症状から認知症と誤解されがちですが、脳脊髄液の研究が進み、施術での改善が可能であることがわかってきています。一方、脳や脊髄は結合組織からなる3枚の膜で包まれて存在していますが、この膜は髄膜と呼ばれます。

髄膜

髄膜とは、脳を包み込み保護している膜のことです。頭蓋骨と脳の間にあり、 3枚の膜(軟膜、クモ膜、硬膜)から成り立っています。

1)硬膜
骨髄へ移行する硬い髄膜

2)クモ膜
クモの巣状の構造(クモ膜小柱)が軟膜との間にある薄い膜

3)軟膜
1層の軟膜細胞から構成される膜
脳溝に入り込む

クモ膜と軟膜の間にはクモ膜下腔があり、ここも脳室と同様に脳脊髄液で満たされています。本来であれば髄液圧が一定に保たれますが、髄液圧が何らかの要因により低下することで「起立性頭痛」などの「低髄液圧症候群」を引き起こすこともあります。

最近では、髄液圧は正常であるにも関わらず、典型的な低髄液圧症候群の症状を持つ症例があることが報告されています。このような症例も含め、「低髄液圧症候群」にかわって「脳脊髄液減少症候群」という用語も使われています。

2012年に、脳脊髄液漏出症治療に関する硬膜外自家血注入療法(いわゆるブラッドパッチ療法)が先進医療として承認されました。2016年4月からは脳脊髄液漏出症(関連学会の定めた診断基準において確実又は確定とされたもの)に対して、ブラッドパッチ療法による治療を行う場合に保険適用されることになりました。この症状が関心を浴びるようになった経緯には、いわゆる「むち打ち症」を含む外傷性頚部症候群との関連が取りざたされたことにあります。関連学会によると、むち打ち症との関係性は今後の検討課題であるとされています。

さらに、脳脊髄液内には睡眠物質が浮かんでおり、睡眠に関係していることも明らかになってきました。睡眠物質の1つであるプロスタグランジンは、脳のクモ膜で産生され、脳脊髄液に分泌され、睡眠ホルモンとして脳内を循環します。そして、脳底部のクモ膜に局在する受容体を刺激し、第2の睡眠物質であるアデノシンの分泌を促します。アデノシンは覚醒中に脳に蓄積し、徹夜をするとさらに増え、眠ると減るということがわかってきています。

執筆者
石垣 雅則Ishigaki Masanori
・過去50院以上の接骨院を運営およびコンサルティング経験あり ・多くの院長、接骨院チェーンのSVへの研修を行ってきた実績を持つ ・圧倒的な身体に関する知識を有する 柔道整復師
よりよい施術を探し続ける探究者

現在も現場で多くの患者に触れており、改善を繰り返しながら新しい施術法を開発する。 柔道整復術だけではなく鍼灸、整体、カイロ、機材、テーピング、指圧、トムソン、腰痛など種類問わず身体に関する理論・技術を貪欲に追い求め、自身の技術に組み合わせ続けてきた。 院長業務を兼任しながら、HONEY-STYLEの自費メニュー開発、ほねつぎブランドの技術研修総合指導を務める。 現在はアトラ株式会社において、全ての技術指導、技術開発を務め、ほねつぎブランドにおいての指導強化にあたっている。 ほねつぎチェーン 技術総責任者。

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