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開業前に要チェック!受領委任を取扱う「施術管理者の要件」とは?

施術管理者とは、施術所における療養費の受領委任に係る取扱い全般の管理者のことです。以前は、柔道整復師、はり師、きゅう師又はあん摩マッサージ指圧師の国家資格を有していれば施術管理者になることができました。しかし、柔道整復は2018年4月から、はり、きゅう師、あん摩マッサージ指圧では2021年1月から、施術管理者の要件として実務経験と研修の受講が要件とされました。施術管理者となるための要件について、それぞれ詳しく解説を行います。(公開:2018年7月9日、更新:2021年4月23日)

施術管理者とは

施術管理者とは、施術所に勤務する柔道整復師、はり師、きゅう師又はあん摩マッサージ指圧師が行う施術も含め、施術所における療養費の受領委任に係る取扱い全般を管理する者のことを指します。これまでは、柔道整復師、はり師、きゅう師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有していれば、誰でも施術管理者になることができ、施術所を開設することも可能となっていました。

施術管理者の要件追加の背景(柔道整復)

要件が設定された背景には、業界の療養費に係る不正請求が大きな問題となっています。また、資格取得後すぐに管理者となるのは、他の国家資格(薬剤師、美容師など)をみても稀であるとの指摘や、継続的に資格確認等が行われていない点も問題とされていました。

社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会において、中長期的な視点に立った療養費の在り方について議論が行われた結果、2018年4月より、施術管理者になる場合には、資格取得後、実務経験と研修の受講を要件とすることが定められました。医療人としての経験をしっかりと積み、施術者の倫理観を身に付ける期間を設けることで、施術者の質の向上に有効であると考えられています。

施術管理者の要件は、これから柔道整復師の資格を取得する人だけが対象ではなく、現在柔道整復師の資格を持っている全ての人が対象となります。今後新たに受領委任の取り扱いを受ける場合は、実務経験の証明や研修の受講が必要となってきますので、十分理解しておく必要があります。

実務経験とは

柔道整復師の資格取得後、受領委任の取扱いを行うものとして登録された施術所において、柔道整復師として実務に従事した経験の期間(雇用契約期間)のうち、当該施術所の施術管理者または勤務柔道整復師の勤務(雇用契約)期間を実務経験としています。

実務経験の期間については、段階実施の実施状況を踏まえつつ、施術管理者の届出を行う期間に応じ、以下のように段階的に定められます。

2018年4月から2022年3月までに届出する場合→1年間の実務経験
2022年4月から2024年3月までに届出する場合→2年間の実務経験
2024年4月以降に届出する場合→3年間の実務経験

保険医療機関で従事した期間は、限定的にこの実務経験の期間として含めることができますが、機能訓練指導員・柔道整復養成施設の教員の勤務期間は実務経験に含めることはできません。



実務経験の証明
柔道整復師実務経験の期間の証明方法は、次の事項の全てを満たす方法とすることとされています。
(1)柔道整復師実務経験の期間の証明は、実務経験期間証明書(統一様式)により取扱うものとすること。
(2)実務経験期間証明書は、柔道整復師が実務に従事した登録施術所の管理者(開設者又は施術管理者)による証明とすること。
(3)地方厚生(支)局において登録されている勤務する柔道整復師の情報は、施術管理者の要件としての柔道整復師実務経験の期間を確認するものとして使用すること。

参照「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について」:厚生労働省


・アルバイトやパート間でも良いの?
証明において、雇用形態(常勤・非常勤・パート・アルバイト)や勤務時間は問われません。また、雇用契約内容が短時間労働者※である場合も、雇用契約期間として認められるのであれば、実務経験期間証明書の作成は可能となっています。
※他の常勤の勤務柔道整復師の勤務時間の3分の2未満である、など。

・転職等で、以前とは別の施術所の施術管理者となる場合、実務経験の証明はどうすれば良いか
以前に勤めていた施術所が現存するのであれば、現在の開設者または施術管理者による証明となります。施術所が廃止されていて実務経験期間の証明が不可能な場合、「氏名・生年月日・従事期間」欄を記入した実務経験証明書に加え、第三者による雇用契約関係の事実を証明する書類(離職票や給与明細、源泉徴収表など)の添付が必要となります。

施術管理者研修とは

研修は、施術管理者として適切に保険請求を行い、質の高い施術を提供できるようにすることを目的として、16時間以上2日間程度の研修の受講が必要となります。研修の受講は、実務経験を満たす前に受講しても良いこととされています。

研修内容は以下の項目について学びます。
1.職業倫理について
2.適切な保険請求
3.適切な施術所管理
4.安全な臨床

研修は公益財団法人 柔道整復研修試験財団で受講することができます。
>>公益財団法人 柔道整復研修試験財団ホームページはこちら


当初は先着順でしたが、2020年度より優先度の高さに考慮して受講者が決定されるようになりました。

優先度が高い方
①施術管理者研修導入時の特例対象者として、研修修了証の写しを後日提出する旨の確約書を、地方厚生 (支)局へ 提出し、受領委任の取扱いの登録又は承諾をされている方

②受領委任の取扱いはまだ行っていないが既に保健所に施術所開設届を提出している方

③既に開業準備を行っている方( 不動産の売買又は賃貸、 設備・機材購入のいずれかひとつ)

④近日中(6ヶ月以内)に施術管理者が退職する(妊娠により受領委任の取扱いを辞退する等)ことから施術管理者がいなくなることが確定するため、同じ施術所の勤務する柔道整復師及び他の施術所からの後任者があらたに施術管理者となる予定の方。
または高齢等の事情から受領委任の取扱いを辞退する予定の親から事業継承を受ける同じ施術所の勤務する柔道整復師である子である方。

(参考)「施術管理者研修」の申し込み方法 変更のお知らせ:厚生労働省


施術管理者研修修了証の交付
施術管理者研修受講後、2週間程度で(公財)柔道整復研修試験財団から発行されます。

>>施術管理者研修要綱

施術管理者の要件追加の背景(あはき)

以前まで、受領委任制度は柔道整復療養費にしか認められておらず、あはき療養費については、償還払いを原則としていますが、患者の負担軽減のため、保険者の判断で代理受領が認められていました。

しかし、代理受領は地方厚生(支)局等が関与した受領委任協定・契約ではないため、はり、きゅう又はあん摩マッサージ指圧師を登録・管理し、地方厚生(支)局等による指導監督を行うことができませんでした。

受領委任は、施術者と地方厚生(支)局長及び都道府県知事が受領委任の契約を締結することにより、患者の施術料支払や療養費請求手続に係る負担の軽減、保険者等への療養費請求手続が明確化され、地方厚生(支)局及び都道府県から、必要に応じて施術者や開設者に対して指導監督が実施されることにより、療養費の不正請求への対応が行われることを目的とされています。

柔道整復療養費については、2018 年4月より研修受講と実務経験を施術管理者の要件に追加されているため、あはき療養費についても、柔道整復療養費の実施状況を鑑みつつ、不正対策強化と、質の高い施術を確保するため、2019年より受領委任制度による指導監督の仕組みを導入し、2021年1月より「施術管理者の要件」に実務経験と研修の受講が追加されました。


(参照)あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の見直しについて:厚生労働省

(参照)はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いについて

実務経験(あはき)

実務経験は、施術者の資格取得後、はり、きゅう又はあん摩マッサージ指圧でそれぞれ1年間必要となります。実務経験は「施術所の勤務施術者として実務に従事した期間」となるため、出張専門施術者に帯同するなどして従事した期間は、当該期間に含まれません。

※過去に施術管理者としての実務経験がある者(出張専門施術者を含む。)は、実務経験の期間に関わらず、施術管理者の要件としての実務経験を有するものとします。

実務経験は、はり師、きゅう師又はあん摩マッサージ指圧師としての実務経験をそれぞれ区分します。はり及びきゅうの実務経験が1年間あり、あん摩マッサージ指圧の実務経験が1年間無い場合、あん摩マッサージ指圧の申出はできないということです。

以下の場合は、はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の実務経験の期間をそれぞれ1年間有することとなります。

・はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の施術所で1年間実務に従事した場合
・同一の期間にはり及びきゅうの施術所とあん摩マッサージ指圧の施術所の両方で1年間実務に従事した場合



実務経験の証明
実務経験の期間の証明方法は、次の事項の全てを満たす方法とすることとされています。

①実務経験の期間の証明は、実務経験期間証明書(統一様式)により取扱うものとすること。

②実務経験期間証明書は、はり師、きゅう師又はあん摩マッサージ指圧師が実務に従事した登録施術所の管理者(開設者又は施術管理者)による証明とすること。

③実務に従事した申出者の実務の種類がはり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧のすべてである場合、「実務経験期間証明書」には、はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の従事期間をそれぞれ証明する。

④実務経験の期間を証明する施術所の開設者又は施術管理者は、施術所に勤務を希望する申出者に対し、不利益な取扱い(例えば証明する代わりに施術者に無償で勤務させる等)を行わない。

研修(あはき)

あはき療養費の受領委任を取り扱う施術管理者が、適切に療養費の支給申請を行い、質の高い施術を提供できるようにすることを目的とし、16時間、2日間以上の講義による研修の受講が必要となります。研修の受講は、実務経験を満たす前に受講しても良いこととされています。

研修内容は以下の項目について学びます。
1.職業倫理について
2.適切な保険請求
3.適切な施術所管理
4.安全な臨床

研修は公益財団法人 東洋療法研修試験財団で受講することができます。

>>公益財団法人 東洋療法研修試験財団ホームページはこちら



施術管理者研修修了証の交付
施術管理者研修受講後、2週間程度で公益財団法人 東洋療法研修試験財団から発行されます(有効期間は、研修修了年月日から5年間)。

はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師施術管理者研修要綱

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