『※効果には個人差があります』で片付けないで!接骨院・鍼灸院が気をつける体験談、打消し表示、ステマのルール
患者さまの体験談や施術のビフォー・アフター写真は、信頼構築に有効ですが、安易な掲載は景品表示法上のリスクを招きます。よく見るフレーズ「※効果には個人差があります。」を付ければ全て許されると考えていませんか?実はそれだけでは不十分です。(公開:2017年9月21日、更新:2025年10月20日)
強調表示、その使い方は合っていますか?
以下の文を見てください。
「私はこれを食べて半年で体重が5kgも減りました。」(体験談) ※効果には個人差があります。
よく見る言い回しですよね。しかし、この文例、 実際に商品を体験した人の体験談であればなんでも書いて良いのでしょうか? 注釈をつければ全く問題ないのでしょうか?
健康食品などの宣伝で、 その商品を体験した方が感想を語っているところってよく目にしますね。 こんなに変わりました! というような体験前、体験後の写真を用いたものもあります。 実際に体験した人の声ってどこか説得力がありませんか? 特にそれが芸能人であれば、 より説得力があるように感じるという方もいらっしゃるかもしれません。
体験談を見る中でよく目にする文言にも気づいていますか?
※個人の感想です。
※効果には個人差があります。
※効果を保証するものではありません。
こうした文言を一緒に掲載すれば体験談はなんでも載せられるのでしょうか? 決してそうではありません。 体験談を見る中でよく目にする注釈は「打消し表示」と呼ばれるものです。
「※効果には個人差があります」は万能ではない
ここで押さえておきたいのは、消費者庁が2017年に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」です。体験談そのものが直ちに違法になるわけではないものの、表示全体で消費者に誤認を与えると虚偽・誇大表示に当たる可能性があるとされています。
例えば「私は半年で5kg減りました」という体験談を見た消費者の多くは「半年で5kg減るのだ」と受け取ります。しかし、その方が食事療法や運動を併用していた、あるいは特定の条件(BMIなど)に該当していた場合、一般の患者が同様の効果を得られるとは限りません。
ここで単に「※個人の感想です」と添えるだけでは、誤解を避けられないことがあります。
強調表示と打消し表示の基本
体験談や広告の中でよく目にするのが「強調表示」と「打消し表示」です。
強調表示
「今なら月額1,980円!」、「何回でも受け取りOK」など、一見無制限・無条件で誰にでも当てはまるように見える表現。
打消し表示
「※○○カードを同時に申し込みされた方限定」、「※効果には個人差があります」など、例外や条件を明示する注釈。
打消し表示は、強調表示の例外条件や制限を明確に伝える役割があります。しかし表示方法が不適切だと役割を果たさず、景品表示法上の問題となるおそれがあります。たとえば、文字が小さい、背景との判別が困難、動画で表示時間が短すぎるなどの場合です。
接骨院・鍼灸院での体験談掲載の注意点
接骨院や鍼灸院でも、患者さまの体験談や施術の成果を写真や動画で掲載することがあります。掲載の際には、以下の点に注意してください。
体験者が極端な例でないか確認
ごく一部の方の極端な効果を一般化して掲載すると誤認を招くおそれがあります。
体験者の条件を明示
食事療法や運動の併用、特定条件(BMIや生活習慣など)を明記します。
体験談が真実であることを確認
販売側関係者が一般利用者として装っていないか、または実際に体験していない内容でないかをチェックします。
打消し表示が適切か確認
文字サイズや色、表示時間など、消費者に読める形で掲載する必要があります。
ステルスマーケティング(ステマ)規制
2023年10月より、景品表示法において ステルスマーケティング(ステマ) に関する規制が明文化されました。ステマとは、広告や宣伝であることを隠して、あたかも第三者の意見や一般消費者の体験談のように装う手法です。
ステマの具体例
・販売側関係者が、自院の施術体験談を「一般患者の声」として掲載する。
・実際には体験していない人の感想を、あたかも実体験のように見せる。
・ごく一部の成功体験だけを抜粋し、あたかも全員に同じ結果が出るかのように誤認させる。
ステマは消費者庁による監視対象であり、発覚すると措置命令や改善指導の対象となります。接骨院・鍼灸院でも、体験談や口コミを掲載する際には「投稿者が実際に体験したか」「一般の患者として掲載してよいか」を必ず確認する必要があります。
接骨院・鍼灸院がステマに注意すべきポイント
・体験談の真実性を確認する
・関係者による投稿は避ける
・一部の例を全体化しない
・打消し表示を適切に利用する
動画広告やSNS掲載での注意点
近年、体験談は動画広告やSNSでも使用されることが多くなっています。動画での掲載の場合は特に以下に注意してください。
・文字が十分な時間表示されているか
・背景と文字の色が区別しやすいか
・表示される情報が専門用語だけで理解しづらくなっていないか
・強調表示の例外であることが明確に示されているか
信頼は正確な情報から生まれる
患者さまの体験談は非常に強力な広告素材ですが、誤解を招く表現は信頼を損ね、法的問題にもつながります。最新の景品表示法やステマ規制を踏まえ、掲載前には必ず以下を確認してください。
・体験談が正確か、極端な例ではないか
・体験者条件を明記しているか
・打消し表示が読みやすく、正しく例外を伝えているか
・動画やSNS掲載の形式に問題がないか
これらを守ることで、体験談を安全に活用しながら、患者さまとの信頼関係を築くことができます。
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