健康寿命延伸に向けた国の取り組み
高齢化に伴う医療と介護の社会的費用がピークを迎えつつある今、高齢者が地域で自立した生活ができるよう、全国各地で介護予防のための取り組みが行われています。そんな中、接骨院では何を提供できるのでしょうか?参考例として、国の取り組みをご紹介します。(公開:2019年9月4日、更新:2023年3月15日)
要介護状態の軽減が最重要課題
超高齢化社会を迎えた今、健康で過ごすことのできる期間をいかに長く保つかという「健康寿命の延伸」が最重要なテーマであると言えます。高齢化に伴う介護ニーズの増加に対応し、高齢者の介護を社会全体で支えるためにできたものが「介護保険制度」です。しかしそれ以前に、要介護状態の軽減や悪化の防止をはかり、健康寿命を延伸することが最重要課題ではないでしょうか。
高齢者が地域で自立した生活ができるよう、全国各地で介護予防のための取り組みが行われています。ここでは、大阪府大東市と東京都世田谷区の2つの事例をご介します。
「大東元気でまっせ体操」で地域づくりを目指す ~大阪府大東市~
大阪府大東市では、高齢者の運動機能向上を目的とした『大東元気でまっせ体操』というオリジナル健康体操を開発し、その普及促進を図ることにより町ぐるみで高齢者の介護予防に取り組み、効果を上げている。
この健康体操は、“お年寄りが介護されずに元気で生き生き過ごせるように”と、2005年に考案された。以来、一次・二次予防対象者の枠組みにとらわれず、自治会や町内会単位で体操の普及促進に努めている。2005年までは全国平均を上回る状況で推移していたが、2006年以降の介護認定者数の伸び率は、体操に取り組む前と 比較して減少するようになり、認定率は全国平均を常に下回るようになった(2011年:大東市 17.0%、全国平均 17.3%)。
2022年9月時点で、133の団体・約2,130人の高齢者が自主的に集まって習慣的に体操を行っている。2022年11月には、約3年ぶりの全治開催が行われた。
出典:厚生労働省HP「平成26年版厚生労働白書 健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年」
区民みんなで支える介護予防 ~世田谷区~
2012~2013年度に市町村介護予防強化推進事業(予防モデル事業)を実施、世田谷区はこのモデル事業に取り組んだ。取組みの一つとして、町会会館での筋力アップ(世田谷いきいき体操)教室を立ち上げた。 定期的な体操ができる環境を提供することで、これまで参加できなかった高齢者の参加を促した。また、サービスを利用していない要支援者等の外出のきっかけとして、喫茶店を集いの場にした。
最初はしゃがんだり長時間の歩行が困難だった参加者も、体操プログラムなどに3か月通った後は改善の見通しができ、9か月後には一般的な行動をとることができるようになった。さらに、自ら要介護認定の更新を申請せず、最寄りである地域包括支援センター管内の喫茶店の集いでは逆にお世話役のボランティアを行い、趣味やスポーツまで行えるようになったとのことであった。
出典:厚生労働省HP「平成26年版厚生労働白書 健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年」
接骨院は健康寿命延伸の一端を担う存在
いざというときに必要な医療、介護などをきちんと受けられるようにするためにも、普段からの予防や健康管理はますます重要になります。一人一人が健康づくりに真摯に向き合い、地域で一緒に健康づくりに取り組むことで、社会全体に健康寿命延伸の輪が広がります。接骨院は、今後ますますその一端を担う存在になっていくはずです。
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