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仙腸関節へのアプローチ
2020.08.04

仙腸関節へのアプローチ

骨盤の骨である仙骨と腸骨の間に仙腸関節と呼ばれる関節があります。この関節は主に、背骨から伝わってきた重力の重みを足へと伝達する「荷重の伝達」と、背骨や股関節の運動を助ける「運動補助」の役割を果たしています。 (2017年9月6日作成、2020年8月4日修正)

「仙腸関節へのアプローチ」目次

・仙腸関節とは
・仙腸関節障害とは
・仙腸関節へのアプローチ例 関節可動域の制限解除
・(interview)石垣先生に聞きました!石垣式自費メニューができるまで

仙腸関節とは

骨盤の骨である仙骨と腸骨の間に仙腸関節と呼ばれる関節があります。この関節は主に、背骨から伝わってきた重力の重みを足へと伝達する「荷重の伝達」と、背骨や股関節の運動を助ける「運動補助」の役割を果たしています。

仙腸関節は、1905年にGoldthwaitらが仙腸関節障害の報告を発表したことにより、腰痛および下肢痛の原因疾患として注目されました。しかし、1934年にMixterらが腰椎椎間板ヘルニアの概念を報告してからは、脊椎や脊髄、椎間板病変が注目されるようになり、仙腸関節障害はあまり言及されなくなりました。

このように、仙腸関節が忘れ去られることとなった要因の一つとして、その動きが画像上で捉えられにくいということが挙げられます。
例えば、化膿性仙腸関節炎の診断にはMRI検査が有用ですが、仙腸関節の機能障害を示す特異的な障害は捉え難いと言われています。また、CT検査の場合ですと、骨や関節裂隙の変化を知るには有効ですが、これらの変化と仙腸関節との相関関係はないと言われ、やはり仙腸関節障害の発見は困難と考えられています。

こうした画像診断では異常を認められないということから、原因不明の腰痛に悩み続けている人々が多く存在しています。これは技術発展が生んだ悲劇とも言えるかもしれません。画像診断はあくまでも補助手段であり、その所見が腰痛の本当の原因であるか否かを見極めるには、様々な検査を駆使する必要があるでしょう。特に徒手検査は、仙腸関節障害の検査として有効です。ワンフィンガーテスト、パトリックテストなどがそれにあたります。

仙腸関節障害とは

では仙腸関節障害とはどのような症状でしょうか。

仙腸関節は骨盤の骨である仙骨と腸骨の間にある関節であり、その可動域は数ミリとわずかであるために、不動の関節と呼ばれた時期もあります。これは、仙腸関節の本質的な役割として、上半身からの負荷吸収があるためであると考えられます。仙腸関節に衝撃が加わった瞬間、仙腸関節はロックがかかったような状態になり、後方の仙腸靱帯衝撃を緩和しながら負荷を吸収しつつ、下肢へと伝達します。この緩和作用が、急に止まる動きやジャンプ、着地といった動きをスムーズにし、靱帯の損傷を防いでいます。

仙腸関節は普段から負担がかかることから、力を加えた瞬間に関節がロックされ、押しても引いても動かなくなるという特徴を備えています。その一方で、一定の力を加え続けるとゆっくり動き出すという特徴もあります。この関節の動きは、外の力に対して関節が硬くなる関節静的反射と、関節が動いているときに動きを制御する関節運動反射が、同時に起きていると考えられます。これら関節反射では、関節自らの中に分布する関節固有受容器が働いています。中でもTypeⅠは静的機械受容器と呼ばれ、関節静的反射の際に働いています。また同時に動的機械受容器でもあり、TypeⅡと共に、関節が動き始めた瞬間に反応して関節運動反射を起こします。(表1)これら関節反射の速度をコントロールすることで、仙腸関節がロックする前に動かすことが可能になると言えます。

AKA(関節運動学的アプローチ・博田法)は、その代表的手技です。しかし非常に高度な技術で、習得するには数年以上の練習が必要とされ、その再現性は残念ながら低いと言えます。

そこで、重力を利用することで瞬時の矯正を可能としたトムソンテーブルの活用が期待されます。トムソンテーブルは落下する際に1.8センチ~2.8センチの無重力状態が生まれます。これは筋肉が弛緩しやすくなっている状態ですが、仙腸関節も動きやすくなっているものと考えられます。よって、通常ですと熟練した技が必要な仙腸関節へのアプローチが、誰にでも簡単にできるようになると言えるでしょう。

「歩行不足」「椅子生活」といった仙腸関節に障害を引き起こす2大要因を抱える現代人にとって、定期的にトムソンテーブルによる刺激を与え、骨盤ならびに仙腸関節をメンテナンスすることは必須条件となりつつあるのではないでしょうか。


【参考】

日本仙腸関節研究会「仙腸関節障害について」、http://www.sentyo-kansetsu.com/jp/sacroiliacjoint.php、2017/06/21

BFI研究会「関節受容器の詳細」、http://www.arthro-reflex.com/bfi/juyoukinoshousai.html、2017/06/21

仙腸関節障害の治療経験 脊髄外科 vol.24 NO.1 2010年6月

※本記事中、意見・考察に亘る部分は、著者の個人的見解であり、著者が所属し、又は過去に所属したいかなる団体の意見等を代表するものではありません。

(H28.9月)

仙腸関節へのアプローチ例 関節可動域の制限解除

情報紙34号「多角的アプローチの革新 M.Iインパクト」内の活用法①関節可動域の制限解除にて一部、仙腸関節へのアプローチ例が紹介されていますので、抜粋してご紹介します。

(川崎先生・石垣先生・山川社長の対談形式となっています。)

川崎:まず検査では可動域から、どこに制限が加わっているのか、制限の原因は何かを探っていきます。次に神経を確認します。インパクト調整は頭を支えている頸椎、上半身を支えている仙腸関節、身体全体を支えている足関節から始めます。3~4か所の調整をパッケージにして、その後は鍼やトムソンテーブル、手技、特殊電気機器の施術などを組み合わせて施術を行います。

山川:基本的には骨格のゆがみを整えて、それでも変化がなかったら筋緊張ですか?

川崎:そうですね。そして筋緊張でもなかったら、脳ストレスやメンタルに原因がある場合もあるので頭蓋骨縫合にM.Iインパクトを使います。

石垣:頭蓋骨縫合ですか?

川崎:頭蓋骨縫合って、腰椎や頸椎にリンクしてるものが結構多いんです。なので、あまり反応が出ないときは頭蓋骨縫合を見て関節を動かしたり筋肉を緩めたりしています。M.Iインパクトをお持ちの先生方にこの方法は好評ですよ。脳ストレスやメンタルで身体が動きにくい人は頭蓋骨の動きが固くなっているので、M.Iインパクトで振動させて脳のストレスを取って、脳脊髄液の流れを良くすると身体が動きやすくなります。

石垣:デスクワーク系の方や歯を噛みしめる方とかに効果がありそうですね。

山川:僕たちは側頭筋や顎関節までしか施術できてませんから、これは発見ですね。

川崎:顔のゆがみもだいぶ変化しますよ。言葉で説明するのは難しいですが、鍼灸やカイロプラクティック、関節運動学的アプローチ(AKA)とか、さまざまな技術から選りすぐって、M.Iインパクトと組み合わせて施術の形を作っています。

執筆者
石垣 雅則Ishigaki Masanori
・過去50院以上の接骨院を運営およびコンサルティング経験あり ・多くの院長、接骨院チェーンのSVへの研修を行ってきた実績を持つ ・圧倒的な身体に関する知識を有する 柔道整復師
よりよい施術を探し続ける探究者

現在も現場で多くの患者に触れており、改善を繰り返しながら新しい施術法を開発する。 柔道整復術だけではなく鍼灸、整体、カイロ、機材、テーピング、指圧、トムソン、腰痛など種類問わず身体に関する理論・技術を貪欲に追い求め、自身の技術に組み合わせ続けてきた。 院長業務を兼任しながら、HONEY-STYLEの自費メニュー開発、ほねつぎブランドの技術研修総合指導を務める。 現在はアトラ株式会社において、全ての技術指導、技術開発を務め、ほねつぎブランドにおいての指導強化にあたっている。 ほねつぎチェーン 技術総責任者。

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