情報紙HONETSUGI ACADEMY

鍼灸院・接骨院の原点へ
2013.12.25

鍼灸院・接骨院の原点へ

今号の特集は、「医薬品登録販売者」資格。姿勢や骨格を重視する接骨院(整骨院)・鍼灸院は、今後、医療の助けとなりうる存在だという考えをもたれ、薬店を併設されている西東京市の「上田鍼灸接骨院」上田宏院長にお話を伺いました。

医薬品登録販売者とは

薬店を併設されている西東京市の「上田鍼灸接骨院」上田宏院長にお話を伺いました。


■医薬品登録販売者資格を取得しようと考えたきっかけや、経緯を教えてください

もともと、以前働いてくれていたスタッフが、医薬品登録販売者資格について調査してくれたことがきっかけだったんですね。一般薬だけではなく、漢方も扱える資格があると。これまで、根幹となる鍼灸施術は行ってきましたが、その施術でせっかく改善されたとしても、次に来られるまでの間、日々の生活での補佐・体質の改善といった、補う(補陽)ということができていなかった。それに、鍼灸と漢方が分離してしまっているのって日本くらいなんですよね。そういう中で制度が変わり、中医学をやるのであれば、 鍼灸・漢方両方の知識をしっかり
持ったうえで取り組むことが必要なのではないかと考えたんです。そういった中、ある薬科大での学部発表を聴く機会があり、この「補陽」の点にこそ漢方があると改めて気づかされたこともあって、資格への興味がわいたんです。


■資格試験の難易度はどのようなものでしたか?

個人の主観によりますし、僕が受験してから時間も経っていることで内容も変わって来ているでしょうから一概には言えませんが、複数地域で受験した僕の感想としては、地域差がかなりあるなと感じましたね。僕の時は、集められるだけの過去問を網羅して望み、無事に合格することができましたよ。何に苦労したかといえば、似たようなカタカナの名前に慣れるのに時間がかかってしまったことでしょうか(笑)。

患者様の反応や施術への影響・効果

■薬店を併設してからの患者様の反応はいかがでしょうか?

信用度がぐっと上がったように感じます。こうして資格を得るために勉強したことで薬に対する知識もかなり上がりましたから、来院される患者様に対し、病院・医師が、どのようなことをどのような目的でされているのかが理解できるようになりました。接骨院(整骨院)・鍼灸院へ来られる患者様には既に薬を服用されている方も多くおられますから、その薬の意味を理解しているのとしていないのとでは大きく違います。より深く患者様と関わることができ、アドバイスも的確にできますね。


■施術への影響や効果はいかがでしょうか?

施術と施術の間の期間に行う改善や補佐が重要なのですが、これまでは出張などで来院が難しい患者様には湿布を貼ってあげるくらいしかできることがなかったのに対し、漢方などを使って補佐してあげることができるようになりました。施術だけだった時よりも改善までのスピードもアップし、より強い効果を引き出せるようになったと感じます。今は漢方の考え方を取り入れたもの、漢方と変わらないようなサプリメントなども多くありますから、こういったものを薬店でも置く動きになってきていますね。

予防・未病医療への貢献

■予防・未病・セルフメディケーションについて、先生がお考えのことを教えてください

僕達のように身体をみる人間には、患者様の身体や状態に合わせて提供するという考え方が基本にあります。
接骨院・鍼灸院でも患者様の身体が必要とするものを提供することが大事ですし、それこそが本業です。患者様が誤った認識のまま購入してしまうのと、その方の身体の状態を深く知ることのできる人間が提供するのとでは、後者の方が的確でしょう。
接骨院・鍼灸院としても業の幅が広がりますし、こういった幅を持った先生や院が多くなることは医療全般にとっても良い方向へと繋がるのではないでしょうか。

■最後に本誌を講読されている先生方へのメッセージをお願いいたします

皆さんにも、この「医薬品」の中で患者様にお渡ししたいものが沢山あると思います。資格のない状態では、湿布・軟膏といったものでも、例え無料だったとしても、お渡しした時点で法に反することとなります。資格を取得するための勉強で培われる知識は、患者様と関わることにおいても貴重な財産となるでしょう。これまで何かと敷居の高かった接骨院(整骨院)・鍼灸院、柔道整復師・鍼灸師を患者様に知っていただける機会ともなりますから、この機会に資格取得をお考えになってはいかがでしょうか。

■取材を終えて

東洋医学の歴史は古く、また漢方においては中国を経て非常に長い歴史を持っています。薬品取り扱い規制の始まりとしては江戸時代に薬品の検査と販売規制をかけたことが始まりのようです。明治に入ると西洋医学重視の政策がとられ、薬売りや漢方薬といった従来の薬品産業に大きな規制がかけられ、医と薬の分業がされます。医療が進歩・浸透していく中、古くから伝わってきた漢方薬、柔整・鍼灸などには大打撃だったことでしょう。そして、100年以上が経ち、ようやく医薬品登録販売の規制緩和がなされ、2009年に医薬品登録販売者資格が施行されました。古来、施術と漢方と食事療法だったものが、この医薬品登録販売資格制度が施行されたことによって、施術と医薬品とサプリメントという従来の形に近いものとなったと言えます。その反面、新しい資格であるためまだまだ整備の段にあり、実務経験のない従業員に業務内容や従事時間を偽った実務経験証明書を発行する、受験資格として必要な実務従事時間を水増しした書類を提出するなどの不正も相次ぎました。2014年には療養費改定と同様にこの医薬品登録販売を含む薬事法にもメスが入る事が予想されています。

本取材に快く応じて下さった上田院長は、薬店を別に構え、患者さまを迎えておられます。院長の深い知識と相まって、患者さまからの信頼も非常に厚いように感じました。皆さんも、患者さまに対してできる「プラスα」を考えてみませんか?

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