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矢野式アセスメント×トムソンテーブルのシナジー効果
2016.06.21

矢野式アセスメント×トムソンテーブルのシナジー効果

「ヘルスアセスメント(health assessment)」をご存知でしょうか。ヘルスアセスメントとは、医師のほか、理学療法士、作業療法士、栄養士、看護者など保険医療に携わる専門職の方が行う、患者さまの健康状態の総合的な評価・査定のことです。いわゆる“カウンセリング(問診)“と呼ばれているものですが・・・

ヘルスアセスメント(health assessment)

「ヘルスアセスメント(health assessment)」をご存知でしょうか。ヘルスアセスメントとは、医師のほか、理学療法士、作業療法士、栄養士、看護者など保険医療に携わる専門職の方が行う、患者さまの健康状態の総合的な評価・査定のことです。いわゆる“カウンセリング(問診)“と呼ばれているものですが、現在鍼灸接骨院で行われているものとは残念ながら大きな差があります。

看護・医療現場においてヘルスアセスメントの考え方は広く定着しており、患者さまがいついかなる時でも質の高い看護・医療を受けられるよう、体系化されて学校のカリキュラムにも組み込まれています。日々、患者さまの身体に触れ施術を行う鍼灸接骨院業界においても、ヘルスアセスメントの「患者さまの日常生活行動レベルを把握、今後の成り行きを推定し、適切な日常生活援助を行う」という考え方が必要ではないでしょうか。

今回取材をお願いした矢野潤先生は、このヘルスアセスメントの必要性にいち早く気づき、取り組んでいます。患者さまが抱える本質的な身体の悩みや、患者さま自身が気づいていないニーズを引き出す聞き取り方とその答え方、姿勢分析などを矢野先生は細かく体系化されました。一回のカウンセリング(問診)に重きを置き、誰でも用いることができるように体系化させるそのスタイルは、鍼灸接骨院業界のカウンセリング(問診)の在り方に一石を投じるような革新的なものに感じます。

矢野先生が院長を務めていた院の患者層は30代~50代女性を中心とする、自費比率の高い鍼灸接骨院でした。自費メニューは特に、患者さまがその必要性を納得していないと受けてはくれません。そして納得してもらうには患者さまの悩みのニーズに的確に応え、結果を出さなければなりません。そんな自費比率の高さを持つ院の大きな特徴は、カウンセリング(問診)のスタイルだけではなく、トムソンテーブルを用いた施術を取り入れているところです。トムソンテーブルはアメリカのクレイ・トムソン(J Clay Thompson)によって考案・製作された、カイロプラクティックで用いられるドロップテーブルの一種で、ここ10年の間に導入する院が増えてきています。

矢野先生はカウンセリング(問診)テクニックとトムソンテーブルを活用し、理想的な自費型接骨院を作り上げました。この二つが現場でどのように活用されているのか、たくさんの先生が見学に来ていたそうです。見学に来る先生は、自費施術型の院に体質改善したい先生や、院のコンセプト自体を変更したいという先生、開業予定の先生などが多く、「今までカウンセリング(問診)としてやってきたこととまるで違う」という驚きの声が上がっています。そして、矢野先生のカウンセリング(問診)テクニックとトムソンベッドのテクニックを融合し昇華させた「トムソンテクニックセミナー」の受講生は、自費施術売上げが向上しているという結果が出ています。

矢野先生には独自のカウンセリング(問診)テクニックと鍼灸接骨院におけるカウンセリング(問診)の在り方についてや、トムソンテーブル活用の方法なども含めてお話を伺いました。

カウンセリング(問診)の体系化そしてトムソンテーブルとの相乗効果

◆教育の一環としてカウンセリング(問診)を体系化したのが始まり 
自費型の接骨院においてカウンセリング(問診)はとても大切なことですが、学校で教えてもらえることではありません。一昔前の教育と言うと、大先生とか院長先生の背中を見て学ぶというのが当たり前でした。それだと、教えたことよりも良くなる場合はいいですが、悪くなってしまったり、人によってやり方に差が出てしまいます。これからの時代はちゃんとした教育を、スタッフのレベルに合わせて行う必要があると思ったんです。その場合、教育する側も教える内容をしっかり体系化ができてないと、「毎回言っていることが違う」ということになりかねないので、スタッフの教育プランを作ることになったのが始まりです。

本来ならカウンセリング(問診)は患者さんの様子を見ながら臨機応変に行うべきものだと思うんですよ。カウンセリング(問診)時の質問内容やその答え方は、自費施術を受けてもらう上で、患者さんのニーズをとらえるためにとても重要になります。でも、患者さんによってライフスタイルや経済状態、健康に対する考え方も違います。限られた時間の中で何を聞くべきか、どれくらい話すのか、ベストな答えを見つけるのは本当に大変でした。今の業界の動向や、ニーズのトレンドなどに合わせてブラッシュアップをずっと行っていますが、ここはいまだに苦労している部分ではあります。


◆「先生」と「患者」の立ち位置、信頼関係を築くことが重要

カウンセリング(問診)でいちばん大事にしていることは、当たり前かもしれませんが、患者さんとの信頼関係を作ることです。患者さんの身体の悩みというのは実はとても細かく分類できるし、するべきだと思います。僕の院に見学に来た先生からも驚きの声をよく聞きます。「実際にここまで時間をかけてカウンセリング(問診)するんですか?」という声が多いです。もちろん療養費施術がメインの院であれば、時間との戦いになると思うので、実践しづらいスタイルかもしれませんが、僕の院は自費施術がメインでしたので、出来る限り丁寧にカウンセリング(問診)していきます。

例えば、症状は同じ「腰が痛い」でも、一人ひとり本質的な悩みは違います。患者さんのライフスタイルや健康に対する考え方を細かく聞いていくと、表面の「腰が痛い」という悩みの裏にある、その患者さんが持つ本当の隠れた悩みが見えてきます。裏の悩みは患者さんも気づいてないことが多いですから、それを僕らが聞き出して説明する、カウンセリング(問診)はそういう時間だと考えています。患者さんが本質的に抱える悩みに対してアドバイスができる先生であれば、先生と患者という位置関係を作ることができると思うんです。そして、患者さんの悩みにマッチした施術をしようとすると、どうしても療養費施術だけではケアしきれないことが多いので、僕の院ではトムソンテーブルによる自費施術を提案していました。例えその後で患者さんが自費施術を受けなかったとしても、先生と患者という位置感で信頼関係を築くことができていれば、その方が困った時にはきっと頼りにしてくれると思います。
あと、患者さんとお話しさせてもらう時には、話しやすく思ってもらえるように、笑顔を意識したりとか、話を聞く姿勢にも気を付けています。そういうところも信頼関係を作る上では大事かなと思います。

◆誰もが同じように実践できるカウンセリング(問診)テクニック
実は、僕は本当に口下手でして、ここに座って白衣を着ていないと喋れないですし、着ていてもこうやって喋ると緊張します。でも姿勢の写真と骨模型があれば、ある一定の情報は患者さんにお伝えできるし、それに伴っていろんな健康情報もお伝えできます。

僕のカウンセリング(問診)は天才がやるものではないんです。いろんな例え話とかを交えてお話の上手な先生っていると思うんですが、僕の中ではそういう人たちは天才だと思っています。でも世の中そういう人ばかりじゃないと思うんです。天才じゃない人でも、結果が出しやすい方法を体系化したものが僕のカウンセリング(問診)なんです。


◆矢野式カウンセリング(問診)×トムソンテーブルの相乗効果
僕のカウンセリング(問診)では姿勢の分析も行うんですが、トムソンテーブルと併せて体系化しています。僕にとってトムソンテーブルはなくてはならない存在で、導入している理由として、患者さんの身体の悩みは、骨が本来望ましいとされる位置にないことからくる場合が多いこと、そしてトムソンテーブルが骨に対してより直接的にアプローチできるからです。トムソンテーブルに出会うまで、施術といえば筋肉に対してアプローチしているという感覚でした。トムソンテーブルを使わずにテクニックだけで骨を動かすこともゼロではありませんでしたが、「骨にアプローチしている」という感覚はとても少なかったんです。でも、トムソンテーブルを使うとその感覚が明確にあり、本当の意味で骨を理想的な位置にしていくこともできるんだ、という点に魅力を感じて、もう10年以上の付き合いです。



◆トムソンテクニックは難易度が比較的簡単
「簡単に誰でもできる」というのがトムソンテーブルの売りだと思います。基礎的な内容であれば半日の軽い研修でもできてしまうくらい簡単なので、一から手技を覚えるより、トムソンテクニックを覚える方が簡単だと思います。ですので、院全体で施術の再現性をある程度一定に保つこともできます。簡単ですが、突き詰めていくと色々な深さもあって、これも面白いところだと思います。余談ですが、僕がカウンセリング(問診)を体系化しようと考えたのは、教育のためということと、このトムソンテーブルの影響も強いと思います。例えば最も結果が出るカウンセリング(問診)の方法を作って、トムソンテクニックみたいに再現性を保つことができれば、院の体質が大きく変わると思ったんです。


◆教えやすくフィードバックがしやすいのがトムソンテクニック
機材などを使わない手技の場合、自分の施術を自分で受けることはできないから、今の施術が正解か不正解かを判断するのは難しいですよね。トムソンテクニックの場合は、足の長さが違う、足の上がり方が違うといった検査から施術を決め、効果がなければ違うところに原因があるから次はこの施術を、というような、検査所見から次にどう施術していくかルールが決まっています。先にお伝えした通り、既に体系化された流れがあるので非常に習得しやすく、また同様の流れを反復して練習し、効果を検証することができます。それに院内のスタッフにも統一して教えることができますから、患者さんの状況をスタッフに伝えやすいと思いますよ。また、昔の書籍でいろんな先生が指標を残しているので、聞かれた側も指標を基にすることでフィードバックがしやすいです。


◆トムソンテーブルを活用できている院と、できていない院の違い
トムソンテーブルを活用する上で重要なことは、「見える化」だと思います。具体的にはその検査とか施術後の変化の見える化ですね。どの施術においても言えることかもしれませんが、視覚的に患者さん目線で変化を伝えることができるものが必要だと思います。施術後に特に変化がなかった、もしくは分かりにくかったら今後も継続して施術を受けよう、とはなりにくいですからね。患者さんに施術前と後でどう変化したか、骨を望ましい位置にすることは効果があることなんだと、分かりやすく「見える化」をすることが大切です。僕の院の場合はカウンセリング(問診)で姿勢の分析も行っていました。患者さんの身体が今どういう状況か、患者さん自身に分かりやすくするためです。僕たちは施術家だから身体のゆがみや不調には敏感ですけど、患者さんにはそれが分からないことが多いです。そのためにツール類はこだわって用意をしています。

時代に合わせたカウンセリング(問診)の形の変化

矢野先生にお話を伺い、自費型の鍼灸接骨院において、カウンセリング(問診)の役割が非常に重要であることを知ることができました。また、トムソンテーブルと組み合わせて使うことでカウンセリング(問診)から施術までのストーリーが明確になり、患者さまにとっても非常に分かりやすい形になっています。

矢野先生のカウンセリング(問診)のポイントは、ひとつは主訴だけを聞き施術を淡々とこなしていくのではなく、ヘルスアセスメントのように患者さまの本質的な悩みや、日常生活における生活について、丁寧にカウンセリング(問診)し適切な施術を提案すること。もうひとつは、提案するときは先生と患者という位置感で信頼関係を築くことです。カウンセリング(問診)の時間を惜しんで、ベッドサイドで主訴を聞き出すだけ、といった方は実際多いと思います。しかし、自費施術も取り入れていくとなると、カウンセリング(問診)で患者さまの本質的な身体の悩みは何か、必要な施術は療養費施術なのか自費施術なのか、といった患者さまのニーズを聞き取って分かりやすく説明する必要があります。先生が提案する施術を受けることが自分にとって必要なのかが分からない状態で、言われるがまま施術を受けようと思う患者さまは稀有な存在ですし、おそらくは2度目の来院はないでしょう。

また、トムソンテーブルを活用することで、施術者の技術力、腕力、体格などに左右されにくく再現性の高い施術を行うことができ、カウンセリング(問診)から施術までを体系化することができています。トムソンテーブルを既に導入しているという先生で、上手く活用できていない原因として考えられるのは、トムソンテクニックが体系化されているのは検査から施術に入るまでであって、その前のカウンセリング(問診)はこれまでと同じやり方になってしまっていることが挙げられます。

矢野先生は時代の流れとともに、カウンセリング(問診)の形も変化させていく必要があることに気づかれました。そして、教えられたとおりに実践すれば、誰がやっても結果が出せるカウンセリング(問診)テクニックを目指し体系化されましたが、業界の動向は変化し続けており、その変化に合わせて日々バージョンアップしているため、今も進化を続けているそうです。

昔のように療養費施術を主軸とした経営が、現在の業界動向を鑑みると難しくなってきている事実は、現場にいる先生方が痛切に感じていることと思います。カウンセリング(問診)に問題があるとお悩みの方、すでにお持ちのトムソンテーブルを活用したい方、自費施術型接骨院に体質改善を行いたいと考えている方など様々かと思いますが、本記事がみなさまの院経営の参考になれば幸いです。

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