情報紙HONETSUGI ACADEMY

レッドコード redcord
2015.12.16

レッドコード redcord

様々な外的・内的要因によって、日々めまぐるしく変化している鍼灸接骨院業界。療養費をはじめとする制度改革や情勢の変化を、みなさまはどのように捉えておられるでしょうか。私たちがお会いする先生方を見ると、この捉え方が大きく2つに分かれています。 ますますきつくなって非常に困っているという方と、その一方で・・・

分野を選ばず30か国で利用

様々な外的・内的要因によって、日々めまぐるしく変化している鍼灸接骨院業界。療養費をはじめとする制度改革や情勢の変化を、みなさまはどのように捉えておられるでしょうか。私たちがお会いする先生方を見ると、この捉え方が大きく2つに分かれています。

ますますきつくなって非常に困っているという方と、その一方で、状況の変化は当たり前、むしろその風に乗って行こうという方です。どちらの考え方が成功をつかむのかは、改めて書く必要もないでしょう。

では、後者であるためにはどうすれば良いのでしょうか。来たるべき風にうまく乗るためには、どうすれば良いのでしょう。

答えは単純です。まずは「風が来る」ということを察知し、その風が自分にとって乗るべきものであるか否かを判断し、そしてうまく乗るための準備をしておけば良いのです。
さて、今号では鍼灸接骨院においてはまだ広く普及していませんが、少しずつ導入が始まっている、ある機器についての紹介をさせていただきます。

当たり前であった受動的な考え方を根本から切り変えて、能動的思考へ。本記事が先生が起こすパラダイムシフトのヒントとなれば幸いです。


◆分野を選ばず30か国で利用

紹介する機器の名前は「レッドコード」。

主にスリングエクササイズセラピー(sling exercise therapy, SET)に利用されています。発祥の地であるノルウェーを中心としたヨーロッパ諸国では広く知られ、世界30か国で幅広く利用されている機器です。筋骨格および神経筋機能改善をコンセプトとし、医師、理学療法士、スポーツトレーナーなど様々な専門分野の方が使用しています。

日本では海外ほどの認知はないものの、リハビリテーション、介護、スポーツを軸とする施設での取り扱いが広まっています。鍼灸接骨院や柔整学校にも徐々に導入がなされており、それぞれ特色を活かしながら利用されているようです。

知らない方が初めて見ると、その設定が煩わしく感じてしまうのですが、スリングロープの操作の基本さえ理解できれば、次に挙げる2つの特徴を通常の施術に織り交ぜて行くこともできるでしょう。
この機器は、自重の免荷作用、振り子運動作用という2つの運動学的特徴を持ちます。自重の免荷作用としては、スリングで身体部位を支持し、それをロープで上方から吊るすという懸吊作用により、吊られている身体部位の自重を免荷することができます。振り子運動作用としては、スリングロープによって吊られた身体部位を、そのロープの可動範囲だけに、振り子運動で同じ負荷、同じ工程を用いて行うことができます。自由な肢位で懸吊することによる自重の免荷作用としては、話題ともなった空中ヨガなどにも通じるものがありそうです。

院のコンセプトや変化に合わせて使い分けもできそうですね。

施術者のアシスタントとして活かせるレッドコード

次は鍼灸接骨院の施術に用いる視点でレッドコードを見てみましょう。


◆施術者のアシスタントとして活かせるレッドコード

先生方は常に行っていることなので特に意識していないかもしれないですが、施術時の肢位によっては施術者側が非常に疲れてしまうこともありますよね。そのため、楽に施術ができ、効果の期待できるトムソンベッドや、短時間での効果を期待できるハイボルテージ1分間療法など、施術者側の負担が少なく、できる限り短時間で効果を生み出せる機器やセミナーが人気となっているようです。

しかし、微妙なポイントや表面ではなく奥の方へとアプローチを行うためには「手・指」であることが重要だったり、施術者の全身を用いて患者さまの肢位を作らなければならない時もあります。施術者側がこうした肢位をとるには、とらない施術と比べると疲れ方も大きくなります。だからといって施術助手をつけ、一人は肢位作りを、一人は施術を、といったことをされている方は非常に少ないと思います。

実はレッドコードを用いると、この施術助手がいるかのような状態が作り出せます。というのも、スリングロープを用いて全身もしくは一部を自由な肢位で懸吊することができるので、施術者が患者さまにとらせたい肢位にしておくことができるからです。



◆重力を分散させることにより生まれる弛緩

施術している時に、良くこんなことがないでしょうか?

「力を抜いてくださいね~」「はい」「(ん~。なかなか緊張が取れないなぁ・・・)」

患者さまは、自分の肩や脚が緊張状態にあるという自覚がありませんから、力を抜いているつもりでも抜けきれていません。緊張状態にある際は特に、内側へのアプローチを行いたくても表面の筋肉や筋が邪魔をして、うまく行うことができません。

先生方はこの緊張をほぐすためにしばらく時間を要し、それから本来の施術に入っているのではないでしょうか。それに、せっかくほぐした緊張も施術者が触ると途端に緊張が戻ってしまったりということもあります。もし、この時間を短縮できたとしたら効率も効果もぐっと上がると思いませんか?

もちろん、施術者に安心して身体を預けていただく必要もありますから、先生と患者さまとの信頼関係もその要因となりますが、実は点による刺激で緊張を生む場合が多いと言います。施術者の「指」が点刺激になっているのですね。緊張をできるだけ生まないように、手のひらで身体に触るように心がけることでもずいぶん変わりますので、試してみると良いでしょう。



また、人間は地球の重力の影響を受けながら生活しています。地球上で立位歩行を行う限り常に地球の重力に抗して行かなければなりません。

ヒトは全身の筋、特に抗重力筋群の筋紡錘に持続的な刺激を受け続け、その結果として緊張性に姿勢を保持することができます。ただ、これが過剰に行き過ぎてしまうと逆に緊張性が高まり、能動的な運動に影響を与えます。特に姿勢を司る脊柱に抗重力筋で連結されている頭頸部や骨盤や下肢筋群への影響は多大です。このような原因の多くは、筋紡錘の過度な興奮状態にあります。

レッドコードでは前述した自重免荷作用によって、この過度な筋紡錘への興奮を減少させ、吊り下げるだけで各部位のリラックス状態を作り出すとのこと。ということは、一生懸命に施術者が時間をかけてほぐしていた時間を短縮することができるということです。

もちろん本当にリラックスして身体を預けてもらうためには、個室やカーテンなどの配慮も必要でしょう。

柔道整復師である石垣雅則が、その効果のほどを実際に試しました。

肩の高さに両腕を吊り上げて肩の緊張状態を見たところ、確かに施術者側はその緊張がほぐれていることを感じたようです。しかしながら、やはり患者側はその実感をすることはできないという結果となりました。例えば電車の吊革を両手で持って、だらんと体重をかけてみる時の自身の肩の緊張をイメージしていただくとわかりやすいかもしれませんね。

鍼灸接骨院での活用

◆レッドコードの3つの特徴を鍼灸接骨院で活用

鍼灸接骨院としての立場から見て、レッドコードには3つの特徴があります。

1つ目は、利用者の身体の状態に合わせて負荷をかけることができること。

2つ目は、施術者のアシスタントとなり得ること。

そして3つ目は、四肢や体幹を宙に浮かせることで弛緩を生み出すことです。

こうした特徴を捉えつつ、今後、鍼灸接骨院へ拡大して行くべく、アトラ株式会社ではレッドコードの販売を一手に引き受けています。

様々な用途・分野で用いられているレッドコードですが、鍼灸接骨院で使用するためには、鍼灸接骨院に合った形で構築すべきと考えています。

例えば、トレーニングやリハビリを鍼灸接骨院で行うには時間単価を考えると難しいものがあります。私たちは、このレッドコードには本当の意味で技術の枠を超えた鍼灸接骨院業界のパラダイムシフトとなるべき隠れた素質があると感じています。

◆さいごに

私たちもまだ研究中のこのレッドコード。先生がもし本記事を読んで興味をお持ちになられましたら、まずはスリングセラピーを調べてみるのも良いでしょう。構造自体は至って単純でロープで吊り下げるものですから、実際に記事内容に沿った効果が期待できそうかを試してみるのも良いかもしれません。

今回はセミナーを用意しておりませんが、先生方にとって有益な方法の構築ができた時、改めて紹介をさせていただきたいと思います。

本記事が先生方のアンテナのひとつの指針となりますように。

(参考:スリングエクササイズセラピー―レッドコードテクニック-/(株)南江堂 中島 雅美 著)

ほねアカチャンネル
【提供しているチャンネル】
ほねアカチャンネル

柔道整復師の道しるべとなる:ほねつぎアカデミー運営部から、療養費・技術・経営・開...[つづきをみる]