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「幹細胞培養液」と「培養上清液」の決定的な違い

「再生医療」という言葉を耳にすることが増え、「幹細胞培養液」や「幹細胞培養上清液」といった言葉を目にする機会も多いのではないでしょうか? 両者は似た名前ですが、実はその内容には明確な違いがあります。このコラムでは、混同されがちな二つの液体の違いを明確にし、その特性と応用について詳しく解説します。

「幹細胞培養液」が持つ力と役割

幹細胞培養液」とは、文字通り幹細胞そのものが含まれている液体のことです。幹細胞は、特定の細胞に分化する能力や自己複製能力を持つ特別な細胞であり、再生医療の分野で研究が進められています。

この「幹細胞培養液」として提供される製品には、生きた幹細胞そのものが含まれているため、細胞の生存状態や活動性を保つための厳重な管理が必要です。

医療機関において、特定の疾患の治療や組織の再生を目的として、生きた幹細胞を直接患者さまの体内に移植する際に用いられるのが、この「幹細胞培養液」なのです。

「幹細胞培養上清液」が持つ力と役割

一方、「幹細胞培養上清液」は、幹細胞を培養する際に、幹細胞が分泌した様々な有効成分が溶け込んだ上澄み液のことです。この液体には生きた幹細胞そのものは含まれていません。

その代わりに、幹細胞が細胞間の情報伝達や組織修復のために放出する、数百種類もの成長因子、サイトカイン、エクソソームといった生理活性物質が豊富に含まれています。

この「幹細胞培養上清液」は、幹細胞が持つ治療能力を間接的に利用するアプローチとして注目されています。細胞そのものを移植するわけではないため、拒絶反応のリスクが非常に低いと考えられており、点滴や局所注入、美容液としての塗布など、多様な方法で利用されています。

「培養液」と「培養上清液」の決定的な違い

「幹細胞培養液」と「幹細胞培養上清液」の違いを端的にまとめると、幹細胞培養液には生きた幹細胞そのものが含まれており、主に細胞移植を目的とした再生医療で用いられます。そのため厳重な細胞管理が必要です。

対して、幹細胞培養上清液には生きた幹細胞は含まれず、幹細胞が分泌した有効成分(成長因子など)のみが含まれています。これは幹細胞の力を間接的に利用するアプローチであり、比較的幅広い用途で利用されています。

この違いを理解することは、再生医療の目的やリスク、提供されるサービスの性質を正しく把握する上で極めて重要です。

知っておくべきポイントと患者様への情報提供

接骨院では、生きた幹細胞を扱う「幹細胞培養液」を用いたアプローチを行うことはできません。しかし、「幹細胞培養上清液」については、一般のスキンケア商品にも活用されているケースがあるため、患者さまが商品をすでにお持ちの場合があります。

患者さまがこれらの情報に触れ、疑問を持った際に、先生方が正確な知識を持つことは、患者さまへの信頼を深めることに繋がります。「幹細胞」という言葉が一人歩きし、誤解が生じやすい今だからこそ、その違いを正しく伝え、適切な選択を促すことが、地域医療を支える施術者の重要な役割です。


※本コラムは、弊社別サイト「アトラ請求サービス」に掲載されているブログ記事を加筆修正・再構成したものとなります。

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