情報紙HONETSUGI ACADEMY

テクノロジー×ヘルスケア
2018.12.20

テクノロジー×ヘルスケア

健康寿命の延伸を目的に、国が重要な位置づけをしているヘルスケア業界の国内市場規模は、2025年には33兆円を超えると予想されています。ヘルスケア業界のマーケットは拡大していくことが確実視されており、特にヘルステック(ヘルスケアの最先端テクノロジー)においては、あらゆる企業が参入し新サービスを手掛けています。

ヘルステック(ヘルスケアの最先端テクノロジー)

ヘルスケア業界のマーケットは拡大していくことが確実視されており、特にヘルステック(ヘルスケアの最先端テクノロジー)においては、あらゆる企業が参入し新サービスを手掛けています。中でも注目を集めているのが、予防領域に特化したヘルステックベンチャーFiNC Technologiesです。AI(人工知能)によるパーソナルトレーナーが歩数・体重・睡眠・食事などのライフログを管理し、ユーザー一人ひとりに合ったサポートを行う無料アプリ「FiNC」は、2018年11月に400万ダウンロードを突破しました。また、オンラインダイエットサービス「FiNCダイエット家庭教師」は、各種検査結果でユーザー自身が体質を理解し生活習慣の分析を行い、日々の食事投稿をもとに専任の管理栄養士から生活習慣改善のための食事サポートを受けられるサービスです。
そんなFiNC Technologiesと、アトラ株式会社が提供するサービス「HONEY-STYLE」が業務提携をし、新たなコンテンツや提携サービスの企画が進行中です。ヘルステックと鍼灸接骨院がつながると、これからのヘルスケア業界にどんな変革が起こるのか、FiNC Technologies代表取締役CEOの溝口勇児氏にお話を伺いました。
【参考】経済産業省 次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について

FiNC Technologies代表取締役CEO 溝口勇児氏インタビュー

--このサービスを始めようと思われたきっかけを教えてください。

以前スポーツジムでトレーナーをしていた時に、お客さまの健康づくりにおいて課題があると感じていました。それは「手間がかかる、楽しくない、辛い、最適なものが得られない、料金が高い」ということです。最適なサービスを届けようとすればするほど、お客さまにとっては手間とコストがかかってしまいますし、トレーナーとしてサポートできるのは1週間のうち、たったの1時間程度でした。どうすれば手間やコストをなくせるのか、時間をもっと有効に使えるのかと思っていた時に、スマートフォンが世の中に普及し始めました。これを使えば対面でもお客さまに届けられ、さらにAIを附随させることができれば、一人ひとりに合った健康づくりにお役立てできると確信しました。
私たちは「手間なく、楽に、楽しく、個人に最適なものを、安く」をコンセプトに掲げてアプリを提供しています。歩数・体重・睡眠などのライフログのデータ入力にかかる手間を減らすなど、お客さまが健康になるためのコストを可能な限り下げることを心がけています。さらに、データを入力したときに得られるメリットを常に考えています。例えば目標の歩数に達成すると付与されるFiNCモールで利用できるポイントは、お買い物で使用できるポイントとしてお客さまに大変喜ばれています。浮いた時間やお金で、皆さんが幸せなライフスタイルを実際に作ってもらえればいいなと思っていますので、これからも最適なサービスを追求していくつもりです。

--こちらにはジムやキッチンなども併設されていますが、こうした設備を整えられた理由はなんでしょうか。

AIやテクノロジーは確かに一人ひとりに合った提案ができるかもしれませんが、こうした無機質なものだけではお客さまとのつながりは強くなりません。人間にとって最も大きなストレスは孤独であり、その孤独を解消するためにヘルスケアやウェルネスの領域におけるコミュニティを作っていきたいと考えています。私たちは美容や健康面におけるアンバサダー※を約600人抱えているのですが、そのコミュニティを作るにあたり一番重要な先導者となってくれています。そうした方々に、会社に併設しているジム・キッチン・撮影スタジオを使っていただくことで、私たちも繋がりを持つことができるのです。
※アンバサダー・・・他者や一般社会に大きな影響力を及ぼす人や事物のことを指す。

--鍼灸接骨院業界にどのようなイメージをお持ちですか。

率直に言えば、大きく変化が起きているとは思えない、旧態依然としたイメージがあります。何年も前から来院している患者さまを大切にしている反面、20~40代の、特に若年世代の人たちにとってはハードルが高く、大人向け・シニア向けのイメージがあります。

--若年世代に対し、例えばアプリでアプローチを図ることで鍼灸接骨院業界に変化が起きると思われますか。

起きると思います。アプリは若年世代の使用が多く、実際私たちが提供しているアプリでは、ユーザーの9割が女性で、年代層は20~40代、そんな新規のユーザーが1日に1万人以上増えています。皆さん、心と身体の健康に関心がある方々ですから、そういうユーザーと鍼灸接骨院を繋げていければと思っています。鍼灸接骨院は素晴らしいサービスを提供されていますので、アプリで若年世代への認知を図っていければ、良い変化が起きるのではないでしょうか。

--サービスの1つである「ダイエット家庭教師」ですが、専属サポーターとは直接会うことは無いと伺いました。これはどのような構想をもって始められたのでしょうか。

私はトレーナー時代、コンプレックスが深い方のサポーターにも力を入れていました。コンプレックスを持っている方たちは、日常のさまざまな場面で自分に引け目を感じています。そのため、人と目を合わせて話すことが苦手な方も多く見られます。当時の私は、カウンセリングの技術を磨くことに専念しました。聞き出すのが相当上手でなければ、初対面、特に異性に何かを伝えるということは相当ハードルが高いようです。しかし、それをくみ取れなければ適切なアドバイスもできません。お客さまが、私たちを信頼できなければ自分に合ったアドバイスなのか疑い、次第に頑張れなくなり挫折してしまいます。
そうしたコンプレックスの深い方を本気でサポートするため、『人生最後のダイエット』というキャッチフレーズで「ダイエット家庭教師」を作りました。そして、対面しないからこそ伝えられることがあるとの思いから、遠隔で一度も会わずにサポートをするサービスにしたのです。

--そうしたコンプレックスをお持ちの方々のために、鍼灸接骨院ができることは何だと思いますか。

お客さまとの繋がりを強化するうえで、接点を増やすことも重要だと考えています。すべてをAIだけで何とかできるわけではなく、オンラインだからこその課題があります。ダイエットサポートも遠隔・AIだけが相手では、頑張り続けることは困難です。しかし、鍼灸接骨院であれば「先生がいるから頑張れる」という、繋がりが深い人間ならではの意識が芽生えます。自分の悩みに自分よりも本気である人のためなら、人は頑張ることができます。対面でのこうした繋がりは大事です。一方、対面での課題は繋がるまでが非常に難しいという点です。私たちのようなサービスと、鍼灸接骨院が上手くつながれば、お客さま・患者さまとの接点が増え、結果としてよりサポートできるようになると思います。

--ウェルネス・ヘルスケア産業のマーケットは今後さらに拡大すると言われていますが、どのようにお考えですか。

急成長していくと思います。今ある商品やサービスは、一定のクオリティ化・成熟化が見られます。承認欲求・認知欲求の向かう先が少しずつ変わり、これからは自分に投資するようになるのではないでしょうか。そして、その最前線にあるのは「いつまでも健康でいること」だと思います。しかし、健康は手段であって目的にはなりえません。健康のために生きているのではなく、その先にある幸せなライフスタイルを手に入れるために健康づくりをするからです。誰もが簡単に、空気を吸うように健康を手に入れられることが理想ですし、できるようになると思っています。例えば、お店で販売されている健康商品にFiNCのマークをつけ、そこから特典や健康情報を得られたら、自然と健康に近づける状態にできるのではないかと思います。
「健康=幸せ」とは必ずしも言えませんが、失えばその先の未来すべてを失うくらい重要なことは確かです。「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」というビジョンを実現するため、絶対に必要な健康を、より簡単に皆さんにお届けしたいと考えています。

--このサービスを通してこれから目指すものを教えてください。

ウェルネス・ヘルスケアのプラットホームを作りたいと考えています。ヘルスケア領域における特許やテクノロジーに関して先行投資を行い、特許は既に22件取得しており、年内までには50弱を取得する予定です。現在、社員の3分の1がテクノロジーの専門家です。さらに、動画・記事のコンテンツは約3万件あり、毎日増え続けています。技術力を高めてコンテンツを増やしていけば、ユーザーは自ずと増えます。ユーザーが増えるとデータが増えます。データが増えると、ソリューションの質が向上します。すると、さらにユーザーの数が増える・・・という好循環を繰り返し、プラットホームとして確立させていきたいと考えています。「ダイエットしよう」「健康診断で引っ掛かった」「最近ちょっと身体が重たいな」と思ったとき、一番最初に思い浮かぶ存在がFiNCであり、FiNCを介して最適な情報が提供されるようにしたいと思っています。

--溝口社長、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

(インタビュアー:ほねつぎアカデミー運営部 山中克之)

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