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自賠責保険と鍼灸接骨院
2015.04.24

自賠責保険と鍼灸接骨院

自賠責保険と鍼灸接骨院 業界をも変える可能性を秘めた「知識」 2014年3月22日、朝日新聞一面に「自賠責むさぼる接骨院」と題し、患者紹介や連続来院に対する記事が掲載されました。毎日真面目に取り組んでいる先生方にとっては非常に苦々しい記憶ではないでしょうか。 内・・・

業界をも変える可能性を秘めた「知識」

2014年3月22日、朝日新聞一面に「自賠責むさぼる接骨院」と題し、患者紹介や連続来院に対する記事が掲載されました。毎日真面目に取り組んでいる先生方にとっては非常に苦々しい記憶ではないでしょうか。内容としては、121日連続来院という明らかに行き過ぎた例を取り上げ、またそういった事情を招いたとされる業界背景にも触れてあるものでした。しかし、読み手にとっては鍼灸接骨院業界全体のイメージを少なからず帰るような、インパクトのある記事でしたね。この新聞記事をご覧になった先生方の中には、HPや院内の掲載内容、現在行っている業に照らし合わせて「うちは大丈夫だよな・・・?」と不安になった方も多いと思います。

ところで、照らし合わせてみていかがでしたか?もしかして、何が大丈夫なのかぼんやりとしてはいませんか?あの法律の解釈から考えると・・・、保険適用範囲の定めから言うと・・・といった明確な答えをもって「大丈夫」と言えるでしょうか。

例えば、「患者様からの要望であり、喜んでもらえた121日連続来院」は、どの部分が何故だめだったのでしょうか。もちろん121日連続来院はおかしいと感じますね。では、10日なら良かったのでしょうか?5日なら良かったのでしょうか?この内容でそもそもおかしいのは来院日数ではなく、本来、施術期間は施術者がヒアリングや経過を見て定めるものであるのに、患者側が決めている点です。
また、自賠責に関して施術日に活用されること自体は違法ではないはずです。では、「交通事故施術ならご相談ください」「自己負担0円」「患者紹介」では何が問題とされ、本当はどこまでが違法ではなかったのか?柔道整復師法、弁護士法や医師法、景表法などから明確に答えることができる方は、おそらくごくごく一部なのではないかと思います。

定められていることを正しく活用しさえすれば、全く問題はありません。しかし、正しく活用するためには、しっかりとした知識をもって業にあたることが非常に重要で、そして大変難しい点になります。

そこで今回は、日本最大級の法律相談サイト「弁護士ドットコム」を関連会社に持つ弁護士法人法律事務所オーセンスの大久保弁護士に、交通事故・自賠責保険に関するお話を伺いました。

鍼灸接骨院との関係

Q. 鍼灸接骨院とのご関係について教えてください。

弁護士法人法律事務所オーセンスの代表弁護士である元榮太一郎は、学生時代に自らが交通事故の被害に遭った際、誰にも相談できずに困っていたところ、弁護士に相談したらうまく解決してもらえたという経験をしており、そのことをきっかけに弁護士になりたい、弁護士という存在を一般の方にもっと身近に感じてもらえれば、という想いを抱くようになりました。こうした経緯もあり、現在、法律事務所オーセンスでは、交通事故の被害者側への対応に力を入れるために交通事故チームを設置し、集中して業務にあたれる環境が作られています。また、元榮弁護士は弁護士ドットコムというサービスを立ち上げています。

弁護士として被害者側への対応に力を入れるにあたって、施術をする医師・柔道整復師の方々と連携をとって、患者様の「健康面」「金銭面」「精神面」という3つのポイントをサポートしていくことが重要であると感じるようになり、医師のほか、鍼灸接骨院の先生方ともお話させていただくようになりました。特に柔道整復師の先生方は、被害者との密接度が深いことから、「健康面」「精神面」でのサポートにご尽力いただけるのではないかと感じています。
また、施術が全て終わって保険会社から賠償金の提示があってから、あるいは施術費等の打ち切りがあってから、弁護士に相談する、というケースが多いのですが、実は、施術が全て終わってからですと、被害者の傷病名・症状・施術経過等に応じた弁護士としてのサポートがしきれないというケースが生じてしまいます。何故かというと、施術中にしっかり対応していただくべき事項が整っておらず、弁護士が介入した後の交渉や訴訟等で立証資料が不十分になってしまう部分が生じてしまうからなんです。ですから、医師や柔道整復師の先生方と連携し、被害者が交通事故被害に遭われた直後から適切な情報を提供していくことで、こうした問題も解消できるのではないかと考えています。
医師と柔道整復師が相互に持つ情報を正確に一致させることで被害者が適正な賠償金を支払ってもらえるか否かの結論に影響を及ぼすこともありますので、医師と柔道整復師が相互にリレーションをとることも、被害者のためになるといえます。
このような状況から、法的にも技術的にも「診断」が可能な医師に「健康面」での重点的なサポートを、私たち弁護士は損害賠償請求という「金銭面」のサポートをするとともに、柔道整復師の先生には、被害者と密接にかかわっていただき、「健康面」、「精神面」でのサポートをしていただきたいと思います。医師、弁護士、柔道整復師の三者の関係をうまく機能させていくおとが交通事故被害者のサポートとして裁量だと考えています。

鍼灸接骨院の先生方の悩みそして相談

Q. 鍼灸接骨院の先生方のお悩みで多いのはどういったことですか?

「施術費用が急に打ち切りになった」、「施術の部位数が医師のカルテと異なると保険者から指摘を受けた」などの御相談が多いですね。そうした際の適切な対応についてどうすればよいのかがわからないというご相談です。このような問題にとても詳しい先生もいらっしゃいますが、どうしても理解が不十分な先生が多いように思います。
また、施術中に保険会社からの電話が入ってきてしまうこと自体にお困りの先生も多く、保険会社からの打ち切りの連絡等により被害者と保険会社とのハザマに立たされてしまうことに悩まれている先生も多くいらっしゃいますね。
保険会社から部位数について指摘を受ける場合などは、保険会社に正しい情報が伝わっていないことに起因している可能性もあります。ですから、施術の状況、現在の症状等を正しく伝えるためにも、医師や柔道整復師の先生方には、画像や、診断書・カルテといった書類を正確に作成しておいていただきたいんですね。

被害者の中には、医師に対して萎縮してしまってなかなか言いたいことを言えない方もいらっしゃるでしょうし、医師との面談時間が短くて全てを伝えきれないこともあるかと思います。ただ、自分の症状を言葉に出して言わないことには第三者には伝わりませんし、そもそもそんなに萎縮しなくても、快く相談にのっていただける医師は多いと思います。また、医師には萎縮してしまう方でも、少なくとも柔道整復師の先生には話しや相談をしやすい環境があるだろうと思います。柔道整復師、医師、被害者のそれぞれが相手に伝えるべきことを伝えていくことで、上記のような柔道整復師の先生方がお悩みの部分を解消できることもあると思います。


Q. 相談を受ける中で、そんなことができるのか、知らなかったと言われたことは?

労災保険、自賠責・任意保険、健康保険のそれぞれの違いや、施術費用の確保に関連する一括払いや被害者請求の内容なども、なかなか詳細はご存じなかったりします。
また、例えば弁護士費用特約の存在ですね。弁護士費用特約とは、示談交渉等の弁護士費用が保険から支払われるというもので、被害者の方にとってはとても便利な特約なのですが、多くの被害者は、ご自身名義の保険に特約が付されていなければ諦めてしまうことが多いです。しかしながら、実は、ご自身名義の保険以外にも弁護士費用特約が利用可能なこともありますので、その話をすると驚かれることが多いですね。

Q. 鍼灸接骨院という存在をどう思われますか?

被害者にとってとても身近な存在だと思います。事故の被害に遭われた方は、健康面や金銭面だけでなく、精神面からも不安を抱えています。鍼灸接骨院の先生であれば、健康面だけではなく、精神面でも支えていただけるのではないかと感じています。
鍼灸接骨院の先生方は勉強しようという志が高く、人柄も良い方が多いので、交通事故に関しても患者様のことを考えて動かれています。困っているから相談に乗ってあげよう、やってあげようといった感じですね。ただ、その反面、法律に関しての知識(金銭面に関する知識)が高いとは言い難い状況にあると思います。それは現状の業界全体を包む体制に及ぶ問題で、端的に言えば交通事故の「金銭面」に関して学ぶ機会が少ないということに起因していると思います。ですから、多くの先生方に適切な情報を知識として身につけていただくことで、さらに良い業界へと変わっていくでしょう。私たち弁護士も、先生方に適切な情報を知識として知っていただく機会を提供することで、鍼灸接骨院の成長にも繋がると考えています。

Q. 最後に先生方へのメッセージをお願いします。

この10年間で交通事故に伴う損害賠償請求の訴訟が約5倍、15,000件ほどとなっており、被害者の方々の権利意識も上昇しています。一方で、鍼灸接骨院の先生においての認知度、知識度がまだまだ低いという実態があるといえます。
先生方には、こうした動きを見極めつつ、しっかりと患者様に適切な情報を提供できるように知識をつけて行っていただきたいです。そういったところから、今後は差が広がっていくのではないでしょうか。こうした知識が最終的に患者様のためへと繋がっていきます。
私たちはその情報を知る機会を提供していきます。先生方は日々精進されている方ばかりなので、法的な部分は私たち弁護士にご相談いただいて、一丸となって交通事故でお悩みの患者様に対応していければと思います。


ありがとうございました。

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