患者さまに教えたくなる栄養学(2)時間栄養学
皆さんは、「時間栄養学」という考え方があることをご存知でしょうか。時間栄養学とは、食事の内容や量に加え、摂取する時間を研究する学問です。同じ食事でも、食べる時間や順番、内容によって、栄養の効果は変わります。「何を」「どれだけ」「どのように」「いつ」食べるのかを考えることが、時間栄養学のテーマです。食事方法や体内時計との密接な関係性など、時間栄養学について紐解いていきたいと思います。
時間栄養学を語る上で欠かせない「体内時計」

時間栄養学は、早稲田大学理工学術院教授である柴田重信氏によって提唱されました。時間栄養学には、人間に備わる「体内時計」が深く関係しています。体内時計とは、体内の時間軸を調整するメカニズムのことです。私たちの体内時計は、1日24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)で時間のリズムを刻んでいます。
この体内時計を形成しているのが「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子です。1997年、哺乳類に時計遺伝子「Clock(クロック)」が備わっていることが発見され、体内時計は脳だけでなく末梢臓器すべてで機能していることがわかりました。脳の「視交叉上核」と呼ばれる部分に主時計があり、内臓や血液などの末梢組織には、それぞれ個別に動く末梢時計が存在するとされています。体内時計によって、睡眠や覚醒、ホルモン分泌、血圧や体温調節などの生理活動がコントロールされています。
2017年には、研究者であるジェフリー・ホール、マイケル・ロスバシュ、マイケル・ヤングの3氏が、体内時計の研究においてノーベル生理学賞・医学賞を受賞しました。
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