なぜこんなに眠れない?睡眠メカニズムと不眠の原因
人間は、人生の約3分の1の時間を「睡眠」で過ごしていると言われています。身体や脳を休息させ、脳内の情報処理を行うためにも、睡眠は私たちにとって重要な役割がありますが、日本人の5人に1人は睡眠に何らかの問題を抱えているという調査報告があります。人はなぜ眠れなくなってしまうのか。「睡眠」のメカニズムや不眠が与える身体への影響など、「睡眠」について解説します。
目次
睡眠のメカニズム~覚醒力と睡眠欲求~
睡眠は、体内時計の指示による「覚醒力(体内時計機構)」と、疲労による「睡眠欲求(恒常性維持機構)」で成り立っています。
覚醒力は起床後からだんだんと強くなって、普段就寝する時間の数時間前に最も強くなります。覚醒中は自律神経の働きで体温や血圧、臓器の活動力も向上します。しかし、1日中活動を続けていると、心身に疲労やストレスが蓄積していくので、回復するために身体は睡眠を求めます(睡眠欲求は、覚醒時間が長いほど強くなります)。
就寝前の時間帯には、覚醒力は急激に下がり眠気が強くなります。身体から熱が放出され深部体温や代謝が低下、体内の酵素反応も不活発化状態になることで、全身の休息状態を作ります。いったん睡眠状態に入ると睡眠欲求は減少し、必要な時間眠ると睡眠欲求はなくなり、また覚醒して活動を始めます。
熱は、主に手足(特に甲部分)から放出されます。眠気が強いときに手が温かくなるのは、そこから熱を逃しているためです。例えば、手足が冷たい冷え症の人は、手足に熱が行き届かないため体外に熱が放出されにくく、不眠になる方が多いと言われています。
体内時計と概日リズム
体内時計は、脳にある視床下部の視交叉上核に存在しており、約25時間周期のリズムで体内環境を変化させる機能です。体内時計は、概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれ、体温やホルモン分泌などもこのリズムで動きます。この概日リズムによって、夜の睡眠と日中の覚醒がもたらされています。
朝方になると、体内時計の働きにより睡眠ホルモンでもあるメラトニンの分泌が止まり、覚醒作用のある副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が分泌され、体温が上昇し覚醒の準備が始まります。
メラトニンは目覚めてから約14〜16時間経過すると再び分泌され、深部体温が低下し眠気を感じるようになります。メラトニンの分泌は、明るい光によって抑制されるため、日中の分泌量は低く、夜間に増加するため、概日リズムを調節する役割も果たしています。
体内時計は25時間周期のため、生活リズムとなる24時間から約1時間のズレが生じてしまいますが、起床時に太陽の光を浴びることで体内時計のズレをリセットします。
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