姿勢反射
姿勢反射とは、その名の通り姿勢の関する反射です。身体のセンサーでもある感覚器に加えられた刺激に対応して、反射的に筋が緊張及び収縮することで、身体の位置や姿勢、平衡を維持することを指します。(公開:2010年8月2日、更新:2023年1月16日)
姿勢反射の種類
私たちは日常生活の中で、ベッドから起き上がったり椅子に座ったり、階段を上り下りしたりなど、様々な動作を行っています。人間には、反射的に筋肉が緊張したり収縮したりすることで、体の位置や姿勢を安定的に保とうとする「姿勢反射」という機能が備わっています。この姿勢反射を理解することは、施術にとても役立ちます。姿勢反射を施術に組み込むことで、正しい動きを導きやすくなったり、負荷を上げたりすることができるからです。
姿勢反射は、局在性平衡反射、体節性平衡反射、汎在性平衡反射の3つに分類されます。
①局在性平衡反射:身体の一部分に起こる反応。
②体節性平反射:体節全体、両側に起こる反応。
③汎在性平衡反射:多くの体節に起こる反応。
姿勢反射は様々あり、前庭動眼反射や前庭脊髄反射、立ち直り反射などがあります。
・前庭脊髄反射
頭部の位置や加速度の変化に対して、頸部や体幹の筋緊張を制御して、安定した姿勢を維持するのに働く反射のことです。バランスが崩れて転倒しそうになった時、何とか平衡を保って体を立て直したという経験はないでしょうか。これは前庭脊髄反射によるものです。転倒しそうになったことで、頭頚部の位置が一瞬で変化し、三半規管や耳石器に強い刺激が加わります。耳石器からの情報は、外側前庭脊髄路で前庭神経核の外側核を中継して脊髄を下行し、同側の四肢や体幹の伸展筋群を緊張させます。この反射により、転倒しないよう自然と踏ん張るというわけです。
・前庭動眼反射
前庭動眼反射とは、頭部が動いた時に視線を一定に保つ反射のことです。例えば首を右に回転すると、首と一緒に顔は右を向くため、眼球も同じように右に動くはずですが、それだと視線もズレてしまいます。首を右に回転した時に働く、右の外側半規管からの情報が前庭神経核を経由し、外転神経核と動眼神経核へ指令を送ります。そして、眼の動きをコントロールする外眼筋に働きかけ、眼球を動かすことで視線を保つようにできているのです。
こうした様々な反射が働くことで、私たちは姿勢を一定に保つことができるのです。
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