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接骨院勤務日報【#62~#65】

【前回のあらすじ】スタッフとは良い関係を築き始めることができてきたが、それとは反対に、岩田さんとは話が合わずイライラしてしまう〈僕〉。そんな中、久々に院長と会うことになったが〈僕〉は不穏な気配を察知して…。

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【62】気まずい食事会

院長に会うのは久々で色々聞きたいこともあった。

最近の業績についても、ちょっと褒めてほしいとすら思っていた。
 


けど、そんなことを言い出せる感じではなく、何だか重苦しい雰囲気でご飯が始まった。
 


席について早々、「俺、今日は酒を飲まないよ。帰りは送って行くから」と言われた。僕には飲んでいいと言ってくれたが、とてもじゃないけど飲める雰囲気ではない。

当たり障りのない会話のキャッチボールが続くが、院長はなかなか『本題』に入らない。

本題に入って、ただでさえ重いこの空気がどうなるは分からなかったが、そろそろ当たり障りのない話題も尽きてくる。どうにかしたいという一心で、僕は勇気を出して聞いてみた。



「僕…何かやらかしましたか?」単刀直入過ぎた気はした。

院長は少し笑って「そうだね。」と一言。
 

院長に、岩田さんから(やっぱり)相談があったそうだ。
 
相談内容は、僕が院の中をかき回している。もっと伸びる要素があるのに、それが上手くかみ合っていない。だから順応できるように調整してほしいということだった。


・・・あれ?思っていたのと違う。
 

僕は、岩田さんにも確認を取って動いていたはずなのに。それに、岩田さんが考えていることの邪魔にならないようにサポートしてきたつもりだった。
 
あれだけ毎日のようにコミュニケーションを取っているのに、なぜ僕に直接言ってこないのだろうか。
 
おそらく頭に大量の「?」を浮かべている僕に気づいた院長は、優しく諭すように話かけてくれた。
 
「岩田さんはサッカーでいうとFWのポジションなんだよね。いわゆる『点取り屋』。そしてお前は、MFのポジション。全体を見て試合を作る立場だ。試合は確かに上手く作れていると思う。でも、岩田さんという人間を活かしきれていないのかもしれないね。
 
岩田さんの言い分は、「ここでパスもらえたら決められる!」っていう瞬間にパスが来ないってこと。ちなみに、今はお前が得点王になっている。

普通のスタッフだったらそれで良いかもしれないけど、会社が求めているのは『決めてほしい時には絶対決める、それ以外の時には絶妙なパスを出し続ける人間』。それが副院長の仕事だからね。
 
副院長になるって決めて、一年の計画を立てたよね?それができないと副院長は任せられないよ。」






・・・・・・・・え?めっちゃ難しくない??

【63】会社が求める副院長

『決めてほしい時には絶対決める。それ以外の時には絶妙なパスを出し続ける人間』

それが、会社に求められる副院長。でもそうなると、僕が真似ている東さんのやり方と違う気がする。
 
「東さんは『自分が院長のつもりで全部仕事を奪っていく』って聞いたんですけど、それは副院長としてよくないことなんですか?」
 
「それは根本的なところが抜けているかもね。
東君は、点を取っても絶対にヒーローインタビューは受けないようにしてるよ。人を上手く動かして、一緒に成果を出して、スポットライトは自分以外に浴びさせるようにしている。
 
なおかつ、スタッフ全員が院のトップである店舗管理者のことを立てるように動かしている。
 
だから、お前とやっている内容は一緒でも、結果が全然違うんだよね。全員から感謝されるような仕事を目指さないといけないのに、結果的に一部の人間からしか評価されない状況になっているんだ。」



組織って大変。。。
 


「歴代の副院長の皆さんはそこまでやられてきたんですね…。」
 
「いや誰もできなかったよ。」
 
え?????
 


「誰もできなかったんだ。だからこそ、副院長のスタンダードのレベルを上げないといけない、という課題が会議でも挙がっていてね。今がそのタイミングで、お前が第一号だ。

副院長の時に一番苦労して、成長して、院長になった時に色んなことを見れるようにならないと、今の院長レベルの底上げもできない。

求めていることがハイレベルなのは、俺たちも分かってる。

でも、俺らの会社が目指しているのは日本一の接骨院グループだ。

誰でもすぐに昇進できる。キャリアを積めばいい。施術ができればいい。
それだけじゃだめだ。

ビジネスセンスとマネージメント能力をつけないと、多店舗展開はできない。だから、会社としての成長がかかっている。

お前に勉強会を担当させたのも、本気で取り組んでくれているのも分かったし、これぐらいしないと会社で昇進できないっていう基準を作りたかったんだ。

これはアドバイスだ。今の成果を認めていないわけじゃないけど、これぐらいで評価をつけるような会社ではレベルが低すぎる。だから、俺はまだ評価しないからね!」


と、笑顔でキツイことを院長は言った…。

【63】東さんからのアドバイス

「これくらいじゃ、俺はまだお前を評価しないからね。」




そう。院長は、本当に面と向かって評価してくれなかった。

どれだけ成果を上げても、年末の表彰式イベントでも僕が個人賞をもらうことはなかった。最初の頃は悔しくも感じていたが、そのうちあまり気にしなくなった。

なぜなら数年経った頃、院長が酔った勢いで僕のことを凄い褒めていたという話を人づて聞いたからだ。

悔しさが気恥ずかしさになり、表彰式のことはどうでもよくなってしまったのだ。
(でも賞金は欲しかったな…。)
 


その後、院長とはいろんな話をした。途中からお酒も飲める雰囲気に変わり、僕は勧められるがまま飲んだ。見事、終電を越えるまで話続け、院長に家まで送ってくもらい帰路についた。


院長に、僕と東さんの違いを聞いてから、東さんに会いたくなった。

もっとちゃんと東さんに話を聞きたい。
 


院長と食事をした翌日、東さんにメールを送った。秒で返ってきた
 
相変わらずレスポンス早い…。「明日飯行こうか?」と言われたので、了承の返事を返しておいた。

東さんに、院長から言われたことを正直に伝えた。東さんは真剣に聞いてくれた。ただ、聞いている間、東さんはなぜかニコニコしていて、どうかしたのかと聞いてみると、



お前、俺と同じことしてんなぁ(笑)



実は東さん、昔に同じような件で一回社長から注意されたみたいだ。

それまでは、自分が主役で他の人の成果も全部奪ってやろうと考えていたようだったが、社長から「そのやり方は遠回りやから止めておけ。」と言われたらしい。
 
なんともストレートな言葉だ。それに、その一言で間違いに気づいてしまう東さんもすごい。



東さんは、今後、何に気をつければ良いのかアドバイスをしてくれた。

相手の事を考えながら仕事をしているときも、自分の目的は絶対にぶらしてはいけない。
 
それができていないと長く続かないし、誰かに負の感情が芽生える。自分のビジョン設計と、院や会社、他のスタッフのビジョン設計をシンクロさせていくことが大事なのだと。

自分・会社・スタッフの間のWIN-WINの関係を考えたとき、三角形の形を思い浮かべるかもしれないが、これはバランスを崩してしまうことが多いと言われた。
 
理想は、自分・会社・スタッフがピラミッド状に積み重なって、一番上にある「同じゴール」を目指すこと。それができれば、長期に渡ってその関係性を続けることができる、と。



当時は難しくてしっくりこなかったが、ビジネスを続けていくうちに、東さんが言っていたことが良く理解ができた。

僕はとりあえず、岩田さんをご飯に誘った。

岩田さんはニコニコしていた。岩田さんも、僕にそこに気づかそうとしていたのかな?
 
…僕にはそんな感じには見えなかったが笑


僕の中の何かが変わったわけではない。
でも、岩田さんとベクトルが重なった気がした。

【65】副院長と呼ばれた日

岩田さんとの間にあった溝も埋まり始め、業績も着実に回復してきた。
 
そのタイミングで、スタッフを数名中途採用することになった。


全員年齢は僕より上だったけど、今度は自分の仕事を見失わないように、気を使いすぎず岩田さんに相談もしながら僕が教育担当を任せてもらった。
 
みんな経験者ということもあり、早い段階で戦力になってくれたので院の成長はさらに加速した。



自分がやるべきことはチームを機能させること。チームスポーツでいうゲームメイクで、試合に勝ち続けること、負けても次は勝てるよう戦略を練り、個々のレベルをドンドン上げることだった。
  
スポーツでも何でも、ポジションごとに役目が違う。たとえ、その人たちが「スペシャリスト」でも、全員が同じポジションだったら、勝てる勝負も勝てないかもしれない。
 
同じポジションを望む人間がいるのであれば、冷静に納得いくまでの話し合いをしてポジションチェンジを判断しなければならない。
 
なるべく人事異動を望まないスタッフも多いが、一緒に働くことでデメリットが生じるのであれば、早い判断で新たなメンバーを編成した方が良い。


その中で、スタッフへの説明が不十分だとか、スタッフを大事にしてくれない会社だ、という声が無いわけじゃない。
 
もちろん、会社都合の人事異動がないわけじゃない。しかし、会社は僕たちが思っているよりも慎重に考えて、最終判断を下しているということに僕は気づけた。想像しているいるよりも上司は不安を感じているのだと思う。



自分の部下の配属を適当に決めるなんて、当時の僕だったら絶対無理!!




新しく仲間に加わった一つ上の前園さんは、初めこそ緊張した感じだったが徐々に自分らしさを出してくれた。
 
性格も明るくモチベーションも高い上、お酒をよく飲む人だった(うちの院はそういう人を引き寄せるのか…?)。僕たちはすぐに仲良くなった。
 
ある日二人で飲みに行った時に、不意にお互いの「今後の目標」の話になった。前園さんは結婚願望があるようで、25歳までに結婚したい!と言っていた(でも彼女はいないらしい)。
 
副院長クラスになりたいという仕事面の目標もちゃんと持ってはいるが、今はプライベートの目標の方が上みたいだ(笑)

  
「そういえば、今の院にはどうして柔整の副院長がいないんですか?」

 
という、質問が飛び出した。うちのグループの副院長は二人体制なのだが、大嶋さんが退職してから、副院長は日野さんだけになっていた。

まあ、疑問に思っても不思議ではないし、隠す必要もないだろう。そう感じた僕は、今までに起きた事を端的に伝えた。


その次の日からだった。




前園さんが僕のことを「副院長」と呼びだしたのは

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