トムソンテーブルの歴史から見るその魅力
鍼灸接骨院でも多く導入されているトムソンテーブルはカイロプラクティックを学んだJ.Cトムソンが開発したアジャストメント専用テーブルです。その生い立ちを知るにはまずカイロプラクティックの歴史を振り返る必要があるでしょう。 カイロプラクティックは「神経筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断・・・
カイロプラクティックの歴史
鍼灸接骨院でも多く導入されているトムソンテーブルはカイロプラクティックを学んだJ.Cトムソンが開発したアジャストメント専用テーブルです。その生い立ちを知るにはまずカイロプラクティックの歴史を振り返る必要があるでしょう。
カイロプラクティックは「神経筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断・治療・予防する専門職である」とWHOのガイドラインに記されています。1895年にD.Dパーマーにより創始され、その息子であるB.Jパーマーにより大きく発展を遂げます。D.Dパーマーは治療院を運営していましたが、そこに訪れた一人の難聴患者の身体を施術した際、背の骨が突出していることに気がつきました。その部位を手技で矯正したところ難聴が改善したことをきっかけに、矯正の研究を始めたと言われます。それからD.Dパーマーは医術の手技療法、接骨術、オステオパシーなど各種の方法を取り入れ、さらに自らの創意工夫を加えることでカイロプラクティック理論と方法を創案しました。
カイロプラクティックの矯正法をいくつかご紹介しましょう。
1.メリック・リコイル・テクニック byD.Dパーマー
脊椎の皮膚分節と内臓との関連性を考慮して、両手による瞬間的な反発を用いて椎骨をアジャストするテクニック。
2.ターグル・リコイル・テクニック byB.Jパーマー
いわゆるHOLE IN ONE学説(HIO)に基づく、上部頸椎(C1かC2)のみのアジャスト・テクニック。
3.トムソンテクニック byJ.CトムソンD.C
ニュートンの慣性の法則を利用し、患者の体重とドロップメカニズムによって最小限の力で、最も安全に脊椎や骨盤、四肢、顎関節などを矯正するテクニック。
トムソンテーブルの歴史
現在では数百もあると言われるカイロプラクティックの矯正法の一つであるトムソンテクニックを創案したJ.CトムソンはD.Dパーマーが設立したパーマースクールの学生でした。J.Cトムソンが在学した頃のカイロプラクティック理論においては施術対象となる部位が頸椎のみと考えられていました。B.Jパーマーが唱えた「メジャーとマイナー論」が主流であったためです。
その影響を受けてか、J.Cトムソンが最初に考案したアジャストメント専用テーブルも頸椎専用のものでした。J.Cトムソン初のドロップヘッドレストは特許を取得し、同年にB.Jパーマーと共同でパーマー・トムソン・ドロップヘッドピース(Palmer-Thompson drop headpiece)という頸椎専用のテーブルを開発しました。このテーブルの特徴は個々の椎体、特に環椎、軸椎の矯正に用いるヘッドピースを単独にドロップさせ、椎体の矯正時に発生する患者への負担を大幅に軽減したと考えられます。
その後B.Jパーマーと共に様々なテーブルを研究開発していたW.Gウィリアムス(後のゼニス・ウィリアムステーブル社を設立する)と共に全身用のドロップテーブルを開発します。それは昇降機能を持つハイローテーブルを基本形とし、頸部・胸部・腰部の3つのドロップ方向を持ちました。
こうして開発されたトムソンテーブルは25年にわたりJ.Cトムソンによって改良が繰り返され、下肢後部筋群の緊張による短下肢を利用して身体各部の異常を検出するディアフィールド下肢検査法の概念を取り入れたトムソンテクニックと共に、アメリカはもとより世界的に骨格矯正専用のベッドとして広まったのです。
世界で愛用されるトムソンテーブルですが、そのメリットは①複雑なカイロプラクティックの手順を「ディアフィールド下肢長短検査法」でパターン化していること。②わずかな衝撃(慣性の法則)を利用することにより身体各部を矯正する刺激を与えるので、患者の肉体的負担が少ないことであると言えます。
長期にわたる研究の末に確立された優れたテーブルとテクニックはこれまで世界中の施術家を魅了してきました。こうした歴史の深いテクニックを適切に患者さんへ提供していくことが私たち施術家の義務ではないでしょうか。
※本記事中、意見・考察に亘る部分は、著者の個人的見解であり、著者が現在所属し、又は過去に所属したいかなる団体の意見等を代表するものではありません。
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