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接骨院勤務日報【#42~#45】

【前回までのあらすじ】 日野さんや東さんに多くの副院長を紹介してもらい、理想の副院長像に近づくため、答えを探し続ける〈僕〉。答えはまだ出ない、しかし「必要なこと」「不必要なこと」が少しずつ分かり始めてきた。

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【42】理想の副院長像って?

副院長になるためには「こんな考えを持つことが必要」というものを多くの先輩方から学ぶことができた。その中で「こんなことはしてはいけない」ということも僕の中でいくつか明確になった。



まず1つ目は「自分が責任のとれない悪口は言ってはいけない

言い方を変えると、「本人の前で言えないことを、本人以外には言うべきではない」ということだ。他人の悪口に同調するのも良くない。悪口を言った人に同調すると、同調した人も同じように悪口を言っているのと同じことだからだ。また責任のとれない悪口は、組織の結束を弱めて不信感を生む原因になる。

思ったことをはっきり言いたい時もあるが、伝え方にも工夫がいるし、言わずに飲み込むことが必要な時もある。しかし、それが患者さまのためになるのであれば、忖度せずに上司や同僚、後輩に言わなくてはいけないと思う。



2つ目は「他人の仕事や立場を奪ってはいけない

自分がやった方が早い・精度が高い・楽だ、と思うことはある。しかし、それは仲間の仕事・立場を取り上げているだけだ。仲間の立場を壊すことを繰り返せば、その人の承認欲求は満たされないまま、「この院に自分は不必要かもしれない」と思ってしまうかもしれない。

かと言って、できないことを押し付けても無意味だ。仲間の業務スピードや精度を上げられるようにサポートしたり、サボらないようにモチベーションを管理したりすることが大事なのだ。



3つ目は「むやみやたらに自分の感情を持ち込まない

自分の感情は業務に絶対に入れてはいけない、と言っているわけではない。「感情を持ち込まない」という部分を重視してばかりいると、人間味が少し薄くなる気がする。

ただ、感情は時に正確な判断をできなくする。ちなみに、熱意や情熱は別。「僕はこっちの方が良いんだ!」という感覚は一旦置いて、患者さまやスタッフがどう思うのか、を追求しなければならない。



4つ目は「人にわざわざ好かれる必要はないが、わざわざ嫌われる必要もない

僕の中で、上の立場の人間は「嫌われ役」が多いイメージがあった。実際にはそうなのかもしれないが、そんな状況になることはほとんどないということを知った。注意や指導をするときだって、タイミングと言葉、場所を選ぶだけで嫌われることは少なくなる。

逆に、スタッフに媚びを売るようにフォローしたり庇ったり気を回しすぎて、会社や患者さまに損失を与えてしまうことだってある。





などなど、他にも数えきれないエピソードはあるが、結局どんな副院長になれば良いのか答えはでなくて、今まで学んだことと、僕の理想の副院長像を足したり引いたりしていくことが大切だと悟った。

自分が理想とする副院長像とはどんなものなのか?
これは、いつも考えていなければいけないかもしれない。

会社の考え方や方針、一緒に働くメンバーによって変化するだろうし、もしかしたら自分自身の中で急に考えが変わるかもしれない。 自分が活躍できる環境を作れるかもしれないし、作れないかもしれない。そして、それは自分に責任があるかもしれないし、ないかもしれない。


万が一、自分の力ではどうしようもない場合は、働く環境を変えた方が自分にも会社にもメリットがあるかもしれない。自分が合わせた方がうまくいくところと、自分が引っ張った方がうまくいくところを見極め、相手を立てるときは立てて、仲間の調子が悪いときは自分がカバーしながら、調子が良くなるようサポートする。

そんなことをイメージしながら、僕は自分の理想の副院長像を固めていった。




しかし、理想は理想 。現実はそんなに甘くはなかった。一度決めたらやり通すという僕の性格が良く作用するときもあれば、良くないときもある。 理想の副院長像を意識することでストレスが頂点に達し、自分を壊していくことにつながるとは、この時、想像もしていなかった。

【43】僕の足りない部分

自分の副院長としての理想像は固まった。次は、「どうすれば早く会社や仲間に認められ、副院長になれるのか」を考え、実行に移さなければならない。

日野さんの話を参考にするならば、
「従業員全体の待遇を上げることができれば、誰が上に行くべきか勝手に決まる」
ということだった。


つまり、一緒に働いているスタッフの皆が、僕に副院長をまかせても良いと思ってくれるような、会社やスタッフ、患者さまのためになる企画を考えなくてはいけない。


自分なら、どんな人に副院長になってほしいだろうか。

自分が「この人が副院長になるべきだ」と思うはどんな時だろう。

どんなことができるようになれば、皆が喜ぶのか?


今の会社でやりたいこと、自分に足りていない・できていないことを洗い出し、必死になって書き出してみた。






だめだ。多すぎる。特に「僕に足りない部分」が!

戦略を練ってやろうと思ったのに、自分に足りないこと、できていないことが多すぎてどうしようもない(今考えれば当然だ、だって施術者になりたてなのだから!)。


でも一つずつクリアしていかなければならない。でも問題が多い。

どうすればいいのか?そんなの分からない。




こんな時いつもどうしてた?そういえば、よく田島さんに話を聞いてもらっていた。

最近、仕事が終わった後は副院長の皆さんと会っていたから、しばらく田島さんと落ち着いて話ができていなかった。都合の良い時だけ頼るのはどうかとも思ったが、一人で考えていてもなかなか答えは出ない。




・・・やっぱり、思い切って聞いてみよう。

心の中でそう思いながら昼休憩前の片づけをしていると、田島さんが近寄ってきて、「昼ご飯いくよ」と背中を叩かれ、そのまま部屋を出て行った。





忘れていた。そうだ、この人エスパーだった…。

おそらく、朝から僕の表情を見ていて何となく気づいたのだろう。しかし、お昼休憩中に相談が終わるだろうか、夜の方がゆっくり話せるんじゃないだろうか、と思っていたら田島さんが引き返して


「夜も行くから!今日はぜんぶアンタの奢りだから!」と笑顔で言われた。

やっぱりエスパーだ。





昼休憩に入り、院の近くの定食屋さんに入り席につくと、意外にも田島さんから質問が飛んできた。


副院長の先生たちはどんな感じだった?

どんな話をした?

面白い人いた? とか


田島さんが僕にいろいろ聞いてくるなんて意外な感じだ。僕の話は「夜に全部聞くから!」と言われたので、ここ最近の副院長さんたちとのやり取りを話した。

田島さんは、珍しくメモを持ってきていた。そして、何名かの副院長と会わせてほしいと、これも珍しくお願いされたので、僕は快く承諾した。というのも、僕が会った副院長のほとんどの方が、田島さんの仕事の姿勢に興味を示していて、話してみたいと言っていたからだ。

それを聞いたとき、田島さんのような人が副院長になるべきなのかな?仕事のやり方・考え方や実績、人間性に興味を持たれるような人が良いのかな?という考えも浮かんでいた。


そんな話をしていると、田島さんから「私の同期には、君に会ってみたいって言う人いるよ?」と言われた。



え?何で?

なぜ自分に会いたいとか言ってくれるんだろう?疑問が浮かぶ。しかし、そんな質問をする暇もなく、昼休みは終了した。




午後からの仕事は、なぜか一段と士気が上がり、患者さまにも「今日は雰囲気が違う」と言われた。田島さんと話しただけなんだけど…自分の中で何が変わったのだろうか?

今思えば「僕にも誰かに影響を与えることができるのかもしれない」と思えるようになっていたのだろう。この時、そういう意識が芽生えたことで後々「与える側」に回れるようになったのかもしれない。

【44】田島さんとのプロジェクト

午後の営業が終わり、なぜか大急ぎで片づけを済ましていく田島さんに釣られて、過去最速で片付けを行った(待たせると後が怖い)。



足早に田島さんと向かったのは、患者さまが営むお好み焼き屋さんだ。日野さんの教えをもとに、僕もこの地域のお店を使う機会を増やすようにしている。田島さんは、最初こそ気恥ずかしいのかソワソワしていたが、最終的には僕よりも利用するような常連さんになっていた。


今度こそ僕の話をするぞ!と意気込んでいたが、無理だった。終始、田島さんの質問に答えるたり話を聞いたりして終わった。…まあ、良いか。いつもお世話になっているし、田島さんにあれこれ聞いてくるのも珍しい。今日は田島デイということにしよう。




食事も食べ終わったのでお店を出た。もちろん、これで解放されるわけがなく、2軒目に連れていかれた。しかし、一通り話してスッキリしたのか、今度は僕の話を聞いてくれそうだった。

「今日は全部奢ってもらうから!」と言っていたのに、結局、昼も夜も田島さんがご馳走してくれた。なんでも、「勉強させてもらった上に奢られるとか、プライドに傷がつく!」ということらしく、頑なにそういうところはこだわっていた。が、気持ちはわかる。



副院長の先生たちと食事をしていたときは、いつもご馳走になっていた。勉強させてもらうのだから、せめて食事代は出すつもりだったのに、「後輩は奢られておけ」と言って、お金を出そうとしても断られてしまった。

嬉しいけれど、やっぱり申し訳ない。どうにかお返しはできないものか。

僕は、後輩がご馳走しても先輩が嫌な気にならないタイミングはどんなときか考えてみた。



答えは意外と簡単にでた。誕生日だ。誕生日だけは、先輩であろうが関係なくご馳走させてもらえるタイミングだ。

それに気づいた僕は、お世話になった副院長の先生たちの誕生日を祝うことにした。当日にセッティングするのが難しければ少し前にずらしたりして、所属院の同期や先輩方にも協力してもらった。




ちなみに、この誕生日祝いは会社の恒例行事となり、月に1度、誕生月が同じ従業員を、会社役員を含めた全員で盛大に祝うようになり、会社の結束を高めることに繋がった当時の社長に褒めてもらった。

2軒目も田島さんがお金を払おうとしてくれたが、田島さんがトイレに行っていた隙に、こっそり支払いを済ませておいた。

田島さんは酔っていたこともありギャーギャーうるさかったが、「僕もアウトプットができたし、頭の中も整理できたので!」とお礼いうと、「そういう切り返しが上手くなったところが可愛くない!」と言われ、結局明日もご飯に行くという約束になった。

田島さんと連日ご飯に行き、何をしていくべきなのかを自分の中で整理することができた。




一番の優先事項として、同僚や先輩の所得を上げるチャンスを創出すること。そのきっかけを作ることができれば、会社にも同僚にも、僕が副院長になっても問題なし!という風潮が生まれるのではないか、という結論に至った。

そこで、田島さんの業務をまとめ、その中から田島さんしかできない業務を洗い直し、再現性のある形にしてマニュアル化し、有志で勉強会を実施して鍼灸師の業務の売上を上げるアクションを起こすことにした。

鍼灸から取り掛かったのは、鍼灸の売上が上がれば柔整も上がっていくとう予測からだ。これは田島さんの案だった。



いつの間にか田島さんとプロジェクトを水面下で立ち上げ、数週間でマニュアル作成しチェックシートまで完成させた。これを会社に提出するのだが、まず院長に言わないといけない。

ということで、田島さんがさっそくアクションを起こしてくれた。院長に許可をもらうためにプレゼンをしてくれたのだ。しかも、ものの五分ぐらいでOKをもらってきた。



ここからは僕の人脈の出番だ。年末にご飯に連れて行ってもらった幹部の方と連絡を取り、従業員のスキルアップや教育担当役員さんへのプレゼンのセッティングをすることになった。

現場でのプレゼン担当は田島さんだが、経緯の説明は僕が担当することになった。プレゼンの日まで仕事後にファミレスで毎晩ロープレを繰り返した。

準備は整った。どんな反応をされるのか分からない、しかし確信のない自信が僕の中にはあった。

【45】提案するときのタイミング

教育担当役員さんとの会食の当日




院長が心配してなのか、お昼休みに田島さんと三人でランチに連れて行ってくれた。そこで田島さんと僕は、院長相手に本番さながらのプレゼンを行った。

とはいえ、お昼を食べながらのトークだったので簡単なものにはなったが。それでも、院長は「何も問題ないし、よくここまで作りこんで練習したね」と評価してくれた。



ただ、最後にポロっと言われた

「タイミングもバッチリだし、今だと伝わりやすいと思うよ」

という言葉に違和感を覚えた。タイミング?今だと伝わりやすい??何のことだろう。





結局、院長の言っていたタイミングは分からなかったが、プレゼンはあっさり合格をもらった。教育担当役員さんからは「何も修正するところはない」という言葉までもらった。


そこからは楽しい食事の時間となり、田島さんも上機嫌だった。

食事も終盤を迎えたとき、役員さんがうちの院長の話をはじめた。


以前の社内会議で「誰かやる気のあるスタッフに、会社の行事やイベント、勉強会等を一つ任せてみようと思っている」と社長が提案をしたそうだ。

その時に、すぐに手を上げたのがうちの院長。「うちのスタッフに勉強会をやらせてほしい。実はこんなことを考えてくれている」と、大まかに話しをしてくれたのだ、と。




そういうことか。だからすんなり通ったのか。

院長の言っていたタイミングはこのことだったんだ。




僕が少し落胆していると、役員さんは

「でも、何か問題があればOKを出すつもりはなかったよ。だから、今日のプレゼンは本当に素晴らしかった。

どこに、誰にメリットがあって、どんな問題が生じる可能性があるのか、その解決方法は何か、しっかり説明されていたし様々な角度から見ても良くできている資料だった。

院長のお膳立てが無くても、おそらくOKだったと思うよ。

ただ、今回の社長の意見がなかったら、もう少し判断に時間がかかったかもしれないね。社長がこの企画をどう受け取るのか、会社の財務状況や、今後の戦略をどうするか、僕たちもすべて把握できていないからね。

きっと反対はされないと思うけど、保留っていうパターンになったかもしれない。そういう意味でも、タイミングが良かったと思うよ。これも引きだよね。」




確かに。内容が良かったら全てOK、というわけにはいかない。


僕は、正月明けに院長に提案して通らなかった企画を思い出した。

その企画も今回の企画も、大筋としては大きな違いはないはずだった。


良い商品だって、求められていない状態では売れない。三方良しという言葉通り、サービスの提供者と購入者、そして社会、この3つにメリットがあるのかを考えなければならない。

ここのバランスをとれていないものはやはりすぐに壊れてしまうことが多い気がする。



そういう、いろんな意味をひっくるめて院長はタイミングがいいと言ったのか。院長は僕たちのプレゼンが成功できるよう誘導してくれたんだ。




(注)このコラムは、実話に基づいた作品です。個人情報保護のため、登場する人物・団体名、設定等は一部変更しています。

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